見出し画像

iPadが一番クリエイティブに役立つ場面

iPadでクリエイティブな作業が行えるのか、という疑問を多くの人々が持っていると思われます。


画面の大きなビューワーマシン

iPadが登場してきたときに「ああ、画面の大きなiPhoneなんだな」という理解をしていました。

当時、iPhoneも3とか4といった時代だったので、4インチぐらいの小さい画面が装備されていた頃でした。正直なところ、画面が小さすぎてさまざまなアプリを使うのにも一苦労していた時代です。

画面の大きなiPhoneぐらいの存在でも、まあいいんじゃないかと考えていました。マンガを読むにしても、新聞を読むにしても、地図を見るにしても、画面が大きいほうが使い勝手がよく、閲覧マシンとしてすぐれているとは言えました。

ただ、これの上で何か作るとかいうのは、「悪い冗談」だと思っていました。

ティム・クックの自分探しプロダクトの1つ、iPad Pro

ティム・クックCEOの「自分探しプロダクト」ともいえる製品といえば、Apple WatchHome Pod、そしてiPad Proです。

つまり、彼がCEOになってから製品化された彼の時代を代表する製品ともいえるわけですが、表の隙間を埋めた程度の存在感であり、何らかのインパクトを社会に与えたような画期的な製品かと言われると、ちょっと返答に窮してしまうところでしょう。

iPad Proについては、とくにその名前に「Pro」と冠してしまったことで「何かクリエイティブなことができないといけない」という「しばり」をApple自身に加えてしまったものと見ています。

本当は「画面が大きい、パワフルなSoCを搭載している」という意味合いにおける「iPad Max」といった名前が正しいところでしょう。「Pro」というのは、ちょっと言い過ぎたのではないか

ここで誤解していただきたくないのは、自分はiPad Proに価値がないと言っているわけではない、ということです。画面が大きくて、発色がよくて、スピーカーが4つついていて縦でも横でもステレオ効果が得られるこのマシンは、実に豪華な閲覧環境です。価格に見合った結果が得られるとは言いませんが、ゴージャスなマシンだとは言えるでしょう。ただし、余暇専用。

漫画家やアニメーター、イラストレーターといった一部の特定業種のひとたちが、高価な液晶タブレットのかわりに使えているという例はあるものの、ほんのごく一部であり、誰もがAppleのCMで紹介されているような絵をいきなり描けるようになるのか? それは、絵心のない一般人にとってはありえないことです

iPad/iPad Proがものづくりに役立つシーンは、人間の目視によるチェック用途?

自分の使い方の中で、iPadがプログラミングとか原稿執筆に役立つのかと自問してみると、「なんでもっと快適なMacがあるのにそんなもんでやる必要があるの?」ということになります。Appleが出しているiWorkアプリ「Keynote」「Pages」「Numbers」にしても、わざわざタブレットで使う必要性というのは何もありません。

自作のアイデアプロセッサ「Kamenoko」を開発する際に、仕上がりイメージ画像を作成してiPadの画面上で表示して、指で操作して快適かどうかという実験を行いました。結果として、「とても実用的ではない」という結論に至っています。

それでも、iPadにしかできないことは、確実にあります

自分で作った電子書籍のPDFを書き出し、iPadに転送し、文面を読んでチェックする「校正作業」の用途です。電車の中や喫茶店で待ち合わせをしている、すきま時間に有意義な校正作業をしたい場合に、これしかないとも言えるほどです。

iPad上のPDFブラウザ「GoodReader」で(これは、別になんでもいいでしょう)、PDFに注釈を記入し、再度Macに転送して「注釈のテキストを取り出すAppleScript」をMac上で動かすことによって、テキストをまとめて取り出せます。

この用途は、とても役立っています。ゼロから電子書籍をiPad上で作るのは首をひねってしまうところですが、この校正用途に使うのはとても有用です。

パソコンでもタブレットでも、「この道具はこの程度の用途には使えるよね」という割り切りが重要だと思っています。なんでもかんでもできるか、という期待をするよりは、そのぐらいの付き合い方が適していることでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?