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経験値

 当たり前のことだが、小学校の教員になったばかりのころは学習指導に関する知識や経験が乏しかった。

 だから、本を読んだりセミナーに参加したりして勉強をした。けれども、学んだとおりに授業をしても、うまくいかないことのほうが多かった。

 一方、時間には余裕があったので、授業力のなさを埋め合わせるかのように、休み時間に子どもたちと遊んだり、学級通信を毎日出したりしていた。

 ・・・それから月日が流れ、ベテランと呼ばれる歳になると、授業力はそれなりに向上していたと思う。リップサービスかもしれないが、授業研究会で褒められることも多くなった。

 その代わり、学級担任以外の仕事を多く抱えて時間に追われるようになり、子どもたちと関わる時間は減ってしまった。


 若いときとベテランのころとを比べて、どちらが子どもたちにとって「いい先生」だったのかはわからない。

 ただ、今でも年賀状をよくくれるのは、若いときに受け持った子どもたちのほうだ。

 ・・・ふと、サッカーの三浦知良選手が40歳になったころ、こんなことを言っていたのを思い出した。

 いわゆる経験値というやつは、歳とともに上がっている。特に戦術眼は、若いころとは比べものにならないくらい向上した。
 でも、それをピッチ上で表現するための体力は落ちてしまっている。
 皮肉なもんだよね。

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