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「奇跡」ではなく「必然」

 2日に羽田空港で発生した日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機との衝突事故では、旅客機の乗客・乗員379人が全員無事に脱出したことが「奇跡」だとして話題になっている。

 衝突時の損傷がもっと致命的なものであったら、多くの乗客・乗員の命が危険に晒されていた可能性が高い。その意味では「奇跡」だといってもよいだろう。

 しかし、衝突後の機内の様子が明らかになってくると、全員が無事に避難できたことは「奇跡」ではなく「必然」だったのだと感じる。

 機内の無線が機能せず、乗員同士のコミュニケーションや状況把握が困難ななかでも、乗客たちがパニックにならないようにと冷静な応対に努めながら、安全な脱出口と経路を見極め、避難・誘導にあたったスタッフの行動は賞賛に値する。日頃の訓練の賜物だともいえよう。


 こうした大きな事故があると、どうしても思い出してしまうのが、2011年に発生した東日本大震災における宮城県石巻市立大川小学校のことだ。

 この地震による津波によって、大川小学校では児童74人と教職員10人が犠牲になった。そして、津波が襲ってくる前に安全な裏山へ避難せず、低地に留まった学校側の対応が激しく批判されることになる。

 学校と教育行政の責任を問う裁判で、亡くなった子どもたちの遺族が掲げる横断幕に記された言葉は、教育関係者の胸に突き刺さった。

「Yafoo!ニュース」より

 地震、火災、不審者の侵入・・・。学校が子どもたちを安全に避難・誘導させなければならない場面は、いつやって来るかわからない。

 そのときに「奇跡」を期待するのではなく、「必然」としての行動をとることができるだろうか。

 もし、そこに不安があるのならば、その原因がどこにあり、それをどのように解消していけばよいのか。

 ・・・これに関しては「多忙」も「人手不足」も言い訳にすることはできないのだ。

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