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「おかえりなさい!」って言いたくて 『ただいま神様当番』を読んで


 Kaoriさんの記事で、『ただいま神様当番』の本を知った。


 Kaoriさんは、「本当にどん底に落ち込んでどうしようもなくなったこと」から、行きつけの料理屋のマスターさんの言葉が、初めて心に響いたそうだ。

「自分を許して、自分を認めて、心の中で子供の頃の自分をちゃんと抱きしめてあげて。みんな幸せになるために、楽しむために、生まれてきたんやで。そのことを受け入れられたら、自分もまわりも愛であふれて、そこから幸せの連鎖が始まるから」

Kaoriさん行きつけの料理屋さんのマスターさんの言葉

 それから、怖くっても勇気を出して、「自分」の存在を許し、Kaoriさんは変わっていく。

楽しんでいい、幸せになっていいんだ。生まれてきてよかったんだ。そう心から思った。

Kaoriさんの言葉

 すると、マスターさんが言われた通り、「幸せの連鎖」が始まったそうだ。よかったなぁ。この話に、わたしはとても共感したし、今のわたしも、これでいいのだと勇気づけられた。

 どうしてかというと、わたしも、「小さなわたし」を抱きしめることができて、それから、どんどん変わってきているからだ。まさに、「みっともない自分」を受け入れ、向き合っている真っ最中。楽しい!生きていてよかった!そう、身体全体で感じることが増えてきている。

 まぁ、時にはため息しか出ないこともあるが、それでもわたしは、わたしを責めることはない。自分を責めることは、「小さなわたし」を否定することだって、気づいたから。しっかり反省したら、その次に行く。実に、シンプルになった。

 だから、昔のわたしみたいな人たちが出てくる話、『ただいま神様当番』を読んでみたくなった。昔って言っても、一年ほど前だ。

 さて、『ただいま神様当番』というタイトルからわかる通り、神様が出てくる!どうして「ただいま」なんだろうか?

 いきなりだけれど、わたしは神様を信じている。3年ほど前から、特にその想いが強くなった。だって、ピンチには、必ず道を切り開くためのヒントをもらえているから。助けてはくれないんだけど、結局自分でなんとかするんだけど、でも助けていただいている気がするのだ。だから、この頃は、自分の直感を信じ、やってきたものをなるべく受け入れ、人との縁を大切にするようにしている。

 でも、この本では、ばっちり会えてしまうんだな、神様に。

 様々な事情抱えた5人たちが、それぞれ別のタイミングで、この神様に出逢う。この5人は、同じバス停から同じ時間に、バスに乗っている。話がひとつひとつのようで、実はつながっているのも面白い。

 さて、この5人みんなに共通しているのが、「自分らしく生きていない」こと。マンネリ化した毎日を、なんとなく過ごしている。人生を楽しんでいなくて、自分ではない誰かがこうしてくれたら…なんていう、他力本願的な感覚で生きている。まさに、以前のわたし…胸がちくりとした。

 それが、神様の登場で、ガラリと生活が変わってしまうわけだ。最初は、神様の仕業にあたふたしているんだけど、そのうち気づいていく。自分が本当にしたかったことを。そうして、めいめいが神様の力も借りて、変わっていく。自分の人生は、自分が創っていかなけりゃって、体感で悟って、次第に神様の力を借りずとも、自分の望む方向へ舵を切るのだ。

 読んでいると、爽快な気分になれるし、うなずきまくってしまう。その人が、その人らしく生きるって、読んでるわたしまでうれしくなるし、パワーをもらえる。それに、一見何気ないセリフや文中の中に、身に沁みるような言葉たちがたくさん登場するのだ。思わず、ノート5ページほど、書き写してしまった。素敵だ。うっとりとなる。せっかくなので、ほんの一部だがご紹介したい。

「大げさかもしれないけど、人生って、単に楽しいからやるって、それが一番の決め手だよ。意味があるとか、お金になるとかはその次でさ。自分自身に何かの取柄や才能があるかどうかもあんまり関係なくて、この世をおもしろがれる力の方がうんと大事だと思う。そんなふうに過ごしてるうち、本当にやりたいことがわかってくるんじゃないかな」

P56

 でも、王子様に迎えに来てもらうんじゃない。私も自分の馬に乗れるようになりたい。
 並んで乗るんだ、それぞれの馬に。そしていろんなところに行くんだ。時々、別行動でお互い好きなところに行って、どこかで待ち合わせたりするのもいい。
 私を楽しませるのは私。
 順番なんて、もう待たない。
 自分から世界に参加していこう。腕を伸ばして、この手でしっかりとつかんで。

P63,64

「私、最近思うんだよね。怖いものなんてない人より、本当は怖いのに立ち向かってく人のほうが、何倍も強いよ。それを勇気って言うんだと思う」

P97

「怒ってるとか悲しいとか、そういう気持ちは一番にしっかり伝えなくちゃだめだよ。その後にちゃんと笑うためにもね」

P220

 この神様になら、わたしもぜひ会ってみたい!そんな気持ちになる。登場人物と一緒に、自分も変わっていくような心持ちにもなった。

 そうして、最後の最後に、気がついた。タイトルにある「ただいま」の意味。それから、「おとしもの」の意味も…

 これは種明かしするより、『ただいま神様当番』を読んでいただいた方がいいだろう。

 読み終わったとき、「おかえりなさい!」そう、笑顔で言いたくなる本です。





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