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成人、おめでとう!


 娘が成人式を迎えた。無事に、この節目を迎えてくれたことがありがたく、よくここまで育ってくれたなと、感慨深い。

 娘は、幼いころ、口数が少なく、想いを口にすることが苦手だった。おしゃべりも得意ではない。それでも、ゆっくり考えたら、出てくる。それで、手紙で気持ちを伝えるようになった。

 ただ、娘は「本当に言いたいこと」だけは、きちんと言える。それは、わたしがそう感じるだけじゃなくて、娘自身も、そう自分を信じている。

 娘は、中学時代、自分の個性をひたと隠して、生活していた。自分を守るように、マスクをし、ほとんど話もしない。高校生になったころ、少し自分らしさを見せても大丈夫になってきたようだった。

 娘からきいたエピソード。娘が高校一年の初めごろ。近くの席の子が体調不良で欠席した。娘は、中学時代を思い出し、身を固くした。あぁ、また悪口が始まるかもしれない…一見仲良しなグループの子たち、けれど、ある子がいないと、その子の悪口大会になる。娘は、わたしなんかは、陰でたくさん何かを言われてるんだろうな…と感じていたようだ。

 そんなことを思い出していたら、ひとりの子が、「俺、一限分の授業ノート、書き写すわ」「私、二限目担当する」「んじゃ、俺三限!」娘は、目を見張った。それから、「わたし、四限やる」と言った。五限目からも手を挙げる子がいて、休んだ子の近くに住む子が届けてくれることになった。

 娘は、とても安心したらしい。あぁ、わたし、この高校に来てよかった、としみじみ思ったそうだ。それからだろうか。ゆっくり、娘は自分を出すようになった。柔らかくおとなしめに見られがちな娘。実際は、しっかりした芯があり、やりたいことはやる、アクティブさもある。

 高校二年になると、パワーポイントを使い、発表する授業が始まった。娘のウィークポイントである、「話すこと」である。たった5分の発表、娘にはかなり難関だった。まず、声が出ない。早口になる。発表時間が大幅に足りない。内容は、きちんとしているのに…何回も何回も練習した。夜に弱いわたし、眠い目をこすり、途中、お茶休憩しながら、付き合った。

 それを、何度も続けて、一年後には10分の発表を、大きな声ではっきりとわかりやすく、発表できるようになった。わたしの出番はなくなった。苦手なことを、逃げずにがんばれるって、すごいなぁと思った。

 大学生になり、今は娘らしさを全開にして、生活しているように感じる。もう、隠す必要がなくなったんだな。ますます、積極的に、やりたいことに突進していく娘が、眩しい。

 そんな娘は、わたしに「母大好き」と言ってくれる。その言葉に、いつも狼狽えるわたし。ストレートすぎる…あわあわしていると、にっこりと笑って、抱きしめられる。なんとまぁ、娘は素直なことか。

 わたしは、おしゃべりだけれど、娘と違って、「本当に言いたいこと」を、面と向かってはなかなか言えない。だって、小恥ずかしく、きっと感極まって泣いてしまうから。だけど、今回はきちんと言えた。

わたしをお母さんにしてくれてありがとう。あなたに出逢えて、わたしはとてもしあわせです。ここまで、育ってくれてありがとう。これからもあなたらしく、進んでいってください。

わたしもあなたが大好きだよ。
成人、おめでとう!


ご成人のみなさま、ご家族さま、おめでとうございます!

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