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チームの一員


 2020東京オリンピックで、久しぶりにバスケットボールの試合を観た。日本女子チームが勝ち進んでいく姿が、かっこよくて胸が踊った。TVに向かって声援を送る。シュートが入ると、我がごとのようにうれしかった。

 試合後半になって、相手チームが疲れ果てていくなか、日本女子の衰えないスピードとスタミナに目を見張った。どれほど走り込んだのだろう。スリーポイントシュートの成功率の高さにも驚く。常日頃から数えきれないほどのシュートを打ってきた姿が思い浮かぶ。

 また、パラリンピックの車いすバスケット、日本男子チームの試合もとても見応えがあった。車いす同士がぶつかり合い、転倒する場面がいくつもあり、ひやひやしながらも、その迫力あるプレイに目が離せない。

 障害の程度で出来ることが違うなか、それぞれの人がそれぞれの持ち味で、試合を進めていく。手で車いすを操作しながら、同じ手でボールも扱う。なんと難しいことをしているのだろう。

 強い衝撃や痛みを伴うだろう、車いす同士のぶつかり合い。怪我やあざは絶えないようにみえる。こちらがゴールを決めれば、相手も決めてくる。息を呑む展開に声も出ない。ただ、勝てるように祈った。

 オリンピックやパラリンピックが終わって一年近くが過ぎたのに、なぜ最近になってバスケットの記憶がふっと湧いたのだろうか。

 学生時代、バスケットボール部に入っていた。小学生のミニバスから始めて、中高、大学2年までの10年間。はっきりいって、まったく向いてはいなかった。ただ、バスケが好きだっただけ。

 ドリブルをした後、ジャンプしながら、ゴールに手をかかげてするレイアップシュート。ジャンプの瞬間、ふわりと浮かぶ身体、なめらかに腕を上げ、手首のスナップをかけて、ボールを置くようにシュートを決める。

 シュッ

 ボールがゴールに入る音が心地よい。体育館に響くボールの弾む音やバスケットシューズがキュッキュッと鳴る感覚も懐かしい。

 試合では、ほとんど補欠だった。試合中、同じベンチの友達と、チームを必死に応援していた。一丸となって、立ち向かう試合。選手、マネージャー、コーチ、応援してくれる人、みんな含めてチームだった。

 そういえば、オリンピックでもパラリンピックでも、わたしはチームの一員だと感じた。日本チームを応援するたくさんの人のなかのひとり。

 選手たちがみているだろう景色が、わたしにもなんとなくわかる。だから、余計に応援に力が入るのだろう。応援することが、とても楽しかった。

 何年も経って、ようやく気づいた。バスケだけでなく、バスケをする人を応援するのも好きだったこと。

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