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今日のわたしのための本


 今日は雨ふり。

 雨の日は、なんだか、ホッとする。わたしの身体のスイッチのひとつが、オフになっているみたい。眠気がすぐにやってきてしまう。

 とはいえ、今日はパートがある日。お昼までに夕飯を、だいたい作っておきたい。ぼんやりだけど、息子とおしゃべりしながら、台所に立つ。今日は、ドライカレーと玉ねぎとわかめのサラダ。野菜を刻みながら、息子の話をきく。それから、息子は、勉強すると言って、隣の和室に行ってしまった。

 わたしは、2階の寝室で、いつものように、自分たちのために絵本を読むことにした。少し前に、マイ本棚を買ったのだ。本が好きだが、昔からの習慣で、図書館で借りるものという、意識が抜けなかった。けれど、最近、自分のために、本を買おうと思った。紙の本がやっぱり好きだし、いつでも読みたいときに本が読めるって、しあわせだ。それで、本棚も欲しくなった。生まれてから今まで、自分専用の本棚を持ったことはない。

 ただ、いざ本棚を購入しようと思ったら、あまりに種類が少なくて、驚いた。飾り棚にような華奢なタイプじゃなくて、しっかりとして重い本も引き受けてくれる本棚がよくて、なかなか理想的なものに出会えなかったが、年明け、展示品の白い本棚に一目惚れ。そうして、一月末、うちにやってきてくれた。見るたびに、うれしくなる。わたしは、あまりものを持たない。ものの管理が下手なので、どうしても欲しいものしか、手元に置けない。

 スカスカの本棚は、下段の絵本のエリアだけ、わりと充実している。今日の本は、『海のアトリエ』にしよう。この本は、メルヘンハウスで買ったわたし用の本だ。海に行きたいし、この本の柔らかな絵にも会いたくなった。

 読み聞かせのときと同じように、声を出す。タイトル、作者さん、出版社も言う。はじまりはじまり。読み進めていたら、どんどんおはなしに引き込まれていった。読んでるわたしと、きいてるわたしが同時にいる。最後、気づいたら、涙があふれてきた。あぁ、なんて、素敵なおはなしなんだ…

 夏休みに、ある女の子が、自分のお母さんの友達の絵描きさんのところへ、一週間遊びに行く。そこで、女の子は自分を子ども扱いしない人に初めて出会う。そこで、女の子は自分らしさのようなものを取り戻していった。絵描きさんは、いつも通りの生活をして、女の子を特別扱いはしない。ただ側で、あたたかく見守り、「心は自由なのよ」と、彼女の背中をやんわり押す…

 絵描きさんみたいな人になりたいな。こういう人に出会いたいな。いろんな気持ちが出てくる。この絵本では、言葉だけでなく、「海」のような自然のものが、作中の「絵」で、語ってくれている気がする。

 わたしは、潮風を受け、女の子の子と一緒に逆立ちをし、絵を思いっきり描いた。花を摘み、貝殻を拾い、絵描きさんとパーティをした…

 心地よかった。何かが癒やされた。

 さぁ、お昼だ。今日、残りの時間、ぼちぼちがんばろう。


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