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息子の大会


 息子のバドミントン大会の日。

 会場まで、車で息子を送っていく予定。高速道路で行かねばならず、夫を頼ろうと思ったが、仕事が休めないらしい。わたしが行くしかない。普段全く高速道路を使わないから、とても緊張する。

 朝からバタバタして、忘れ物をしたり、やり忘れもしたりして、予定よりも出発が遅くなってしまった。7:50に出発と言いながら、結局うちを出たのは、8時過ぎ。

 気持ちが急く中、車を走らせる。初っ端から、高速道路に入るところを間違えそうになり、ふたりで慌てる。でも、なんだか楽しくなってきた。

 高速道路の入り口を通り、ぐーんとアクセルを踏む。加速しながら、後ろを確認、本レーンに入る。ふぅ。あとは、流れに乗っていけば…ふと気づくと、時速90キロ出ちゃっている…ほんとにほんとに事故には気をつけないと。

 息子が、「山が綺麗だ」とつぶやく。ちらっと見ると、青い山々の裾野に雲がたなびいて、なかなか風情がある。けれど、じっくりは見ていられない。肩に手に、力が入っている。

 しだいに山が近づき、トンネルをいくつか抜け、高速の出口にたどり着いた。一般道をまた走り、体育館に到着したのは、集合5分前。ギリギリ駐車場に車も止められ、息子を送り届けて、やっと肩の力が抜けた。がんばったぁ。もう、気疲れしている。

 大会が始まるまで、まだ間があるから、あたりを散策することにした。山がすぐご近所にある。濃尾平野に住んでいるから、近くに山があることが珍しい。よく見ると、上の方から紅葉している。コンビニで、息子用にチョコを買った。息子、今日も朝ごはん、ほとんど食べなかったなぁ。

 体育館に戻り、息子を見つけ、チョコを手渡した。息子、カチンコチン。緊張しているなぁ。試合をとても楽しみにしていたから、楽しんでこられますように。

 観覧席は2階。見下ろした競技場には、バドミントンのコートが8つ用意してある。開会式が終わり、試合が始まった。

 シャトルを打つ音が競技場に、バシンバシンと響く。シャトルは上下へ左右へ。ふんわりと鋭くささるようなのと。スマッシュが決まると気持ちがいいだろうなぁ。1ゲーム21点先取。11点目がどちらかに入ると、コートチェンジ。その時に給水タイム。一試合は、だいたい10分ほど。

 息子の番がきた。息子は男子シングルスに出る。緊張しながらも、しっかりした顔つき。気合いを感じる。試合前、試合をするお相手と何やらしゃべっているよう、穏やかな感じだ。

 試合が始まった。お相手が強い。これは…そう思いながら、心の中で応援する。息子もあっちこっち、負けじと打ち返す。技はまだまだかもしれないが、ガッツはあるな。

 結局、試合は負けてしまったが、いい経験になったんじゃないだろうか。息子の試合を間近で見られて、わたしはただただうれしい。また、新たな経験を積めたなぁ。よかった。

 それからも引き続き、いろいろな子の試合を見ていたら、顧問の先生がわざわざ来てくださった。息子のやる気を褒めてくださり、先程の試合もよく戦ったと、またほめてくださる。ありがたい。

 試合はまだ続く。ベスト8以上になると、3ゲーム21点先取みたいだ。試合時間も長くなり、試合中は苦しそうな顔つき。けれど、試合後は笑顔になる子が多かった。

 審判を終えた息子が隣に来て、

 「負けちゃった。相手の人、優しかったし、面白い人だった。あぁ、バドミントンもいいけど、やっぱ、サッカーがやりたい。」

 「そっか。試合、ナイスガッツ!お疲れさま。」


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