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ただ、あなたに幸せでいてほしい

関西空港からバスに乗り、向かうは京セラドーム。
降りだした小ぶりの雨で濡れた地面の上を沢山の人たちがゆっくりと、でもはやる気持ちを抑えられないような空気を醸し出しながら歩いていた。

ぎっしりと人で埋め尽くされたドーム。
誰もが彼の登場を待ちわびている。

カウントダウンをするように鼓動が早くなっていった。

今か、今か、と待ちわびていると突然、大きな歓声が会場中から溢れ、視界に現れた星野源の姿。

「この人は本当に実在しているんだ」といつも不思議な気持ちになる。

広い広いドームの中に響き渡る歌声。
4万人の心が一気にひとつになったように思えた。

それからはあっという間の時間だった。
歌い、踊り、笑い、楽しむ、ただただその繰り返し。

だけど、時折、不意に涙が出そうになる瞬間がいくつもあった。

目の奥がじんとしたり、胸がいっぱいになったり、どうしたわけか何か熱いものがこみ上げくる。

これは悲しさではないんだな、と途中で気づいた。
今、この瞬間が幸せで、かけがえのない時間を過ごせていることへの喜びとうれしさが湧き上がっているのだ、と。

こんなことは初めてかもしれない。
幸せな気持ちは、時に涙に変わることもあるんだと知った。

彼の歌『Family Song』にはこんな歌詞がある。

ただ幸せが一日でも多く 側にありますように
微笑みが一日でも多く 側にありますように

その言葉をそのまま、彼に渡したいと思った。

ライブ中に何度も何度も頭を下げ「ありがとう」と告げる姿。
聞こえないだろうけど、私も「ありがとう」と何度も言った。

どの場所にいても楽しめるように配慮されていたこと
お客さんのことを考えに考えた演出だったこと
誰も置いてけぼりにしない空間を創っていたこと

このライブが「星野源」という人そのものだ。

言葉で表現できないほどの多幸感を与えられる人だからこそ、彼には幸せであってほしい。

いつまでも楽しく、真面目にふざけてほしい。

ただただ、そう願った。

帰り道、帰ってからもこう思った。

同じ時代に生きていられることは何て幸せなんだろう。
そして、あなたに出会う未来があってよかった。

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