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書くことを忘れてしまった君へ

なつかしい、と思った。
荻窪のコーヒー屋においてあった「自由ノート Part2」を最初は読むだけのつもりで、手に取った。

来日して花道体験レッスンの住所を間違えて、このコーヒー屋に辿り着いた人、年配の母を連れてやってきた息子あるいは娘、普段コミックエッセイ書いているだろうと思うほど綺麗にまとめられた絵と読みやすい丸文字を残している人。

私も書きたい、と思った。
彼女とカヌーに乗り、笑い、筋肉痛でこのノートを書いている、と。
誰が読むか分からない、なんでもない私の昨日の出来事だけど。

書きたいと思ったこと、文字を書くこと、書くことがあること、全てがなつかしい、と思った。

私は書くことが好きなひとだった。
でもいつしか、書くことができなくなった。

自分を埋めてしまうことに、慣れてしまったんだと思う。
特別じゃない、瑣末なことだ、と思い込むようになった。
誰にも見つからないことが、安全だと思うようになった。
そうしている間に、いつからか、なにが不満なのかも分からず、なにをしたいのかも分からず。

多分、私はまた書くことを忘れてしまう。
なので、その時のために、これを残しておこうと思う。

君は書くことが好きだったけど、きっとまたすぐにそんなこと忘れてしまうでしょう。それでもいいと思う。ただ、また書きたいと思う時が来たら、どうかその時はまた書いてほしい。
書くことを思い出した君へ、

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