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#1 見えないものと向き合うこと【地獄堂霊界通信】


こんにちは、いちこです。
ここでは、読んだ本の紹介をしていきたいと思います。
1記事につき1冊または1シリーズ、ご紹介していきます。
こんな感想もあるんだな、と思っていただけたらと思います。
本に興味を持ったり、
選ぶ時の参考になれば幸いです。

【今日の本】

今回は初回ということもあるので、最近読んだ本ではなく私が昔読んだ本の中から思い出深いものを取り上げようと思います。

本日ご紹介するのは、
香月日輪(こうづきひのわ)著
「地獄堂霊界通信」です。

ポプラ社から出版された児童文学です。
一番最初が1994年発行とのことで、30年近く前の作品。

講談社でも出版されていますし、漫画版もあります。
こちらは比較的新しいので、手に入りやすく読みやすいと思います。

この作品は、私が小学校高学年の頃に図書館で借りたのがきっかけだったと記憶しています。
人生で初めて、何度も読むほどハマった小説です。

当時私は、ポプラ社版の方を読んでいました。
挿絵が絶妙に怖かったことを覚えています。

【あらすじ、内容】

てつし、リョーチン、椎名は町内を騒がすイタズラ大王3人組。
このワルガキたちが不思議な力を授かり怨霊どもと対決する、痛快無類、大人気シリーズです。

ポプラ社ホームページより


補足すると、
このワルガキ3人に不思議な力を授けるのは
薬屋の「極楽堂」、通称「地獄堂」のおじいさんです。
おやじ、と皆に呼ばれていますが、いつから生きているのかわからないほど長く居る。
そんな不気味なおやじは、妖怪、異界などに詳しく、不思議な道具も持っています。
3人にいろいろな知識や道具を授け、時には諭したりしています。


【感想、雑談】

ここからは
私の個人的な感想や雑談です。

初めて読んだ時、私は主人公の3人とちょうど同じ年頃でした。
人生初の長編ものです。どこから読んでもいい「ゾロリ」みたいな児童小説ではなく、正真正銘の続きものという意味で人生初でした。
地獄堂のオヤジを通して不思議な世界へと繋がり、力を得て、成長していく3人がとてつもなくかっこよくて、憧れました。
子どもって、特別な力とか幽霊とか好きですよね。

正義感が強くて硬派なてつし、優しくて泣き虫のリョーチン、冷静で頭のいい椎名と3人のバランスも良いです。

特にてつしの一本芯の通った姿勢が、大人を怯ませたりハッとさせることもあって、子供心にスカッとしていました。

今回、感想をまとめるにあたって久々に読み直したのですが、彼らが言っていることって、とても子どもらしい単純な理論なんですね。
そんな簡単にはいかないんだよな、と思う反面、その純粋さで生きられる彼らが眩しいです。

単純だからこそ混じり気のないまっすぐさで、綺麗事ではあるんですけど、核心をついていたりして。
なんだか、大人の誤魔化しや見て見ぬふりを覚えた己に、ぐさっと刺さりもしました。
(汚れっちまった悲しみ)

3人の周りで見守ったり振り回されたりする
不良警官のミッタンやマッキーなどの大人たち、何かを察しつつも黙って見守るてつしの兄、竜也などなど全てのキャラクターが生きているって感じがします。

お話の内容としては怪異や幽霊などを題材にしていて、結構怖いです。
そして子ども向けにしては不条理さや人間の醜さ、やりきれない話も多く、描写もグロテスクなものが多いです。
でも、ただ「怖い」だけじゃなく、そこに至る事情みたいなものがズシッと重くのしかかります。
当時の社会問題なんかも取り上げている印象ですね。


今回読み返してみて、子どもの頃は
「かわいそう」
「悲しい」
「怖い」で流していた部分が
大人の視点から見ると「あるある。」だったり、「こういうやばい人、いるいる」と絶妙な嫌らしさの大人が結構います。


【おわりに】

久々に読んだら、面白くて全巻読んでしまいそうな勢いです。
これやってたらめちゃくちゃ時間かかりそうだな、と思います。

私は神様とか妖怪とか特に信じている訳ではませんが、怖い話は好きなので楽しめる作品です。
児童書なので読みやすいですし、漫画版は絵も可愛らしいのでおすすめです。

興味が湧いたら、読んでみてください。
では、今日はこの辺で。
ありがとうございました。

いちこ


【参考】

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