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ポエム童話『色いろ』

※画像ぱくたそフリー素材さま」より。すしぱくさまの
作品です。

このポエム童話は、光の三原色と物の三原色をテーマにした物語です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

太陽の光の世界で、赤色君と緑色ちゃん、それから青色君たちが、おたがいにふざけて抱きついたりしていました。
 
赤色君と青色君が抱きあうと紫色になります。緑色ちゃんと青色君が抱きあうと水色になり、赤色君と緑色ちゃんが抱きあうと黄色になりました。
 
「うわぁ、おもしろいな! ぼくたちがくっつくとちがう色になるんだね」
 
元気でわんぱくの赤色君が大きな声で言いました。
 
「そうだね。ぼくたちが離れるとまたぼくだけの色になるんだ」
 
いつも落ち着いている青色君もどこかうれしそうです。
 
「ねえ、私たちみんなでくっつくと、どんな色になるのかやってみようよ」
 
緑色ちゃんが明るい声で言いました。
 
赤色君はよけいに赤くなって爆発しそうですし、青色君は乗り気いっぱいです。
 
みんなはせーのでくっつきました。たくさんの光と色たちが舞い踊り、真っ白な色になりました。
 
「白色になったよ! 不思議だなぁ!」
 
赤色君が叫ぶように言いました。
 
そうなのです。光の世界では、赤と緑と青の色がひとつになると白になるのです。赤色君たちがわいわい騒いでいると、黒色君が、のっそりと顔をだしました。
 
「黒色君もこっちにおいでよ」
 
いつも優しい緑色ちゃんが、黒色君を手招きしながら言いました。でも黒色君は、身動きせずにじっとしています。
 
「失礼なやつだな。せっかく緑色ちゃんが声をかけてあげたのにさ」
 
赤色君がぷんぷんしています。
 
「赤色君。ぼくが君たちとくっつくと、君たちはぼくのなかに入ってしまうんだよ」
 
「どうして!」
 
赤色君たちは驚いて離れ、同時にどうして! と声をあげました。
 
「まえにも君たちのような色君たちと出会ってひとつになろうとしたら、その色たちがぼくのなかに吸い込まれてしまったんだよ。なんどやってもおなじだったよ。ぼくのなかにはたくさんの色たちがいるんだ」
 
黒色君はとてもさびしそうに言いました。黒色君の姿が、より暗くなりました。
 
赤色君と青色君がたがいの顔をみあわせて、ふと手をつなぐと紫色になりました。紫はおもいやりの色なのです。
 
「黒色君。そんなに暗くならなくても大丈夫だよ。君の色だって大事な色じゃないか。人間や犬や猫たちだって、夜が来るからぐっすりと眠れるんだから。神さまは、必要でないものなんておつくりにはならないよ」
 
赤色君と青色君は、とてもやさしい声で言いました。それを聞いた黒色君は、ちょっぴり微笑みました。
 
「ありがとう。ぼくはひとりぼっちじゃないんだね」
 
「そうだとも。君のなかにはたくさんの色君たちがいるんじゃないか」
 
赤色君がそう答えました。そして、今度は赤色君と緑色ちゃんが手をつないで黄色になりました。黄色は陽気な色なのです。
 
「よし、みんなでわいわい踊ろうよ!」
 
赤色君と緑色ちゃんが言いました。そして、みんながそれぞれの色に戻り、手を振り、足をゆらゆらと揺らせて、ユーモラスな踊りをはじめました。でも、踊りに夢中になりすぎた色たちは、ついぶつかりあって、赤色君たちは、黒色君のなかに入ってしまいました。
 
赤色君たちが、トンネルのようなものを通って抜け出てみると、そこではたくさんの色たちがにぎやかに踊っていました。そこは、七色の虹の橋がいくつもかかる、それはとても美しい世界でした。

           (了)

私の作曲、演奏をしているオリジナル曲です。インスツルメンタル。


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