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週刊web川柳  非情城市 vol.00.5

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先週の日曜日から土曜日まで。「こいつ、懲りねえなあ」と思っていただければ幸いです。川柳です。
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記事一覧

土曜日のモンク  川柳21句

土曜日のモンク  川柳21句

ジャポニカがどの酸欠の町にある

クリスマス戦後のぬり絵尽き果てて

重曹の同人雑誌編集者

外套の釈迦をなくしたバスの中

北米のフルート奏者だと略し

探偵社社屋が沈む砂の原

マゾッホに禅を教えた間氷期

事務局で稚魚と再会する実話

避妊具のよかった点を書き連ね

砂漠から鯖ラーメンの店へ抜け

ゴダイゴの会を散会させる主よ

EDWINの有限うたう子守唄

逆賊がカステラ切らず現代史

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金曜日のパンチ  川柳23句

金曜日のパンチ  川柳23句

黒板のトートロジーを換気する

道真の血小板があった地で

県知事に捕食をされるカルデラ湖

Q型の文鎮投げる哲学者

反射炉でまともなひとが焼くユッケ

しょうが屋に限定された炎寿祭

神視点火の輪くぐりの輪が円い

土蔵からアラスカ犬が減るさなか

大文字の主体が死んだ後のわさび

特用のやもり売られている鹿嶋

タブローに同級生の家紋二個

波及する伊藤左千夫のジャブ迅し

軟体の生物の戯画

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木曜日のクララ  川柳19句

木曜日のクララ  川柳19句

歯ミガキ粉かもしれないが妻を抱く

ポーカーの把握はじめる犀の王

鯛めしを求め円筒形の式

食堂がカフカ全集函ふやす

奈良県の水溶液の泡の数

河豚を釣る怪奇現象体験者

高踏な絵日記だったダイハツ社

イメルダが居ない冬期の平泳ぎ

鮭うばう冬の桜の木の下で

てれすこの続きを聴きに潜る坑

玉鷲のスタンプラリー完了し

しゅうまいの分解写真ねらう賊

昼の月欽ちゃんバンド憎悪して

プリン

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水曜日のボノボ  川柳21句

水曜日のボノボ  川柳21句

鯨鍋きょう類推をしなかった

鞦韆をタージマハルで表現し

夕暮れに伝達性のないチャプチェ

星雲の中心にまた魚介類

興亡史ふたつの芋の離れれば

デスメタルジャケット絵師の深呼吸

芝浦のポインセチアを産む掲句

清水から清水へチャリが移動した

墓碑銘に新体操と刻まれる

はと麦茶だろうがコンゴ縦断す

猿股の電波とらえる今日に名を

雪像の和光大学文芸部

イデアでのらっきょう漬けを投擲す

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火曜日のカフカ  川柳39句

火曜日のカフカ  川柳39句

存在すチャーリー浜の機内食

代ゼミでもたまに神聖受胎する

点字論どこかに帰るあてもなく

やすらぎの館に置いて出るテレカ

伴奏者総出で竹を割る郷里

ぺんてるがあった他人の地方都市

臥牙丸の考えている江戸川区

早漏のバーテンダーが捕る魔球

猿と来て猿を貸し屋として帰る

時計屋でちりめんじゃこも無く生きる

牛に似たものを生前贈与され

矛盾するはみだし刑事のコンビーフ

建設をしない

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月曜日のスピン  川柳37句

月曜日のスピン  川柳37句

滝えがくインターポール清掃夫

書痴ばかりあつまる昼の猫の島

鮭すべて史実と成れよコンドーム

夕焼のひとつがドーム球場へ

哲学の襟を主体にする夫婦

アンチョビにつなぐ卒塔婆を考えろ

荒野論イベリコ豚が豚である

湯豆腐と老人野球なき季節

枯葉おちふたり民族大移動

天皇のうしろに立ったチャボ・ゲレロ

判例のしずかなコインランドリー

武士の噴く汐にいくつも名があって

永久の片平なぎ

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日曜日のバルス  川柳19句

日曜日のバルス  川柳19句

季語でなくモーパッサンの断つどぜう

銀行の記念日めいた貝を割る

教会の一〇回クイズかぞえ抜き

エディンバラ公に炭酸水を載せ

王死なば関根勤の指紋採り

冬空に反よしもとの鯉のぼり

超人が超超人のほくろ掻く

ケシゴムに溺れる男子だけの小舎

ソビエトの刺身のような名を持って

無理数で名刺に書いてあるチーズ

最澄をふるわせているおじぎ草

電線の類比を容れるぽち袋

とりもちを矢田亜希

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