畳拭くマングローブを罪として

きときとの持てる限りの棒を持ち

亜鈴錆び戊辰戦争後の世界

冬の湖広告塔の腱切れる

鹹水湖出てコサックの針さがす

拡大図中尾佐助の針の山

キドカラー一基と数え自然治癒

落雁を考えている人の波

ビスケット意のままに割る次郎冠者

噺書く冬に腐ったもの並べ

猿股を縫ってアダムの詩語終わる

命在れ南瓜畑にみりん埋め

寒餅がトーベ・ヤンソン領に降る

此の世にてバンクーバーの硯彫る

如是我聞彫刻刀を検索し

砂に書く当たり前田の漂流記

皇帝のうんちをはこぶ山の音

古墳茶を点ててしばらく冬の雲

精神の部屋にボクサー猫を編む

ソビエトの爬虫類館での吐血

聖豚の日に克己するバカ博士

キマイラを荻生徂徠が飼うと冬

長屋にてよみがえるリタ・ヘイワース

熟睡のおのれの外にヨーグルト

冬の雲なにを脱会してひとり

たばこ屋もジム・ジャームッシュらも凍る

真っ白の明智の世界凍りつき

寒い日の馬穴の裏に絵文字書く

還俗のＵ字磁石に入り浸り

三菱の社歌を輪唱して冬か

豚まんとひとの言葉を借りにゆく

カウンター・カルチャーとして柚子を焼く

ガン・マンを歴史修正する絵画

写真部のパラドックスに餅焼ける

太陽がいっぱい沈むサイボーグ

ピアス嵌め滋賀県民の火のごとし

腸詰をネバーランドに貼り忘れ

トング無き埼玉県に箱一個

茶室へとインベーダーの列降りる

友蔵の呼吸東京物語

雪に撃つさくらももこの火縄銃

電子戦唐十郎の針の穴

正気にて候池をめぐる池

日ユ同祖の時代より亀眠る

厭戦句団鬼六を直覚し

現象に愚問を残すハル薗田

ミシン踏む中学生が酢を守り

光景の素数数える成瀬悠

ラジオ消しながら神への長い道

天皇の緯度を変えないまま変える

非盆地に桃子のいないチャネリング

幻冬に稲川さんの精子死す

和田勉へ電装中の寒雀

絵手紙にラカンの記す福袋

しめさば・・・・に傍点を打つ受診会

珍日本プロレス用の糊で貼る

サラ金に言葉の上のこぶ茶煎れ

たましいに鬼界ヶ島の数字打つ

黄門の旅のネガティヴ・シンキング

冬の蚊帳二重思考の帳思う

ドムドムが消えて月形半平太

ドムドムの不滅に象の凍りかけ

ドムドムに共感魔術する茶会

柴崎はラリって居るか私軍隊

半農の鉄条網の前頭

さるまたをおもわなかった羊歯の会

黄門の分身像とみどりあう

豚吉の人肉喰の鏡映え

テルミンを推し活動に弾き語る

青森の神父が居ないボクシング

昭和軒一軒も無しくさび町

初夢に視たことの無い袋町

架空して避妊具残る分儀町

ダダイスト新吉が塗る猿田町

優作に鍋を負わせる傾奇町

すき焼の明滅つづくテレビ町

葬列に熱源在らん味醂町

章魚を喰え吉田義男を言い淀む

冬の雨卓球場に春夫住む

寿限無から導き出した唯我論

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