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青の時代(カインド・オブ・ブルー)  川柳53句

茸類その他の言葉おぼえ初む

晴れた日と猪苗代湖が燃える日と

念力をおよぼすサラミソーセージ

ハーブ買う町にふたりが溶けてゆく

眼鏡屋と睡眠薬を配り合う

ボサ・ノヴァに示されている痒い部位

うどん煮る劇場型の犯罪者

コロッケが有馬記念に有る濁世

肉食を田代まさしと理解する

図解してしまった鳥の脚きれい

爆風にコールスローの動かざる

イラ・イラの戦争中に麩を切った

議事堂の名詞のなかのハムエッグ

山田家にサン=サーンスがすべり込む

宙域にホット・ドッグの音字数

賭博者の砲丸投げに焼く卵

球団と霊安室が陸の上

麺に沿う卍固めを解いている

狂人の遺書にサルマン・ハシミコフ

比喩つづくゼリー半島春景色

性的に意味を含んでいる破線

こしあんと桑田真澄に置く鏡

豚宿すこころのさらばプロ野球

神島に小倉優子を写植する

季の違う兄弟間の盆踊り

宮﨑が脳裡のさなぎばかり撮り

ヤンキーの茸あらわす点と線

猫町としじみを呼んだ偽ロダン

ごぼ天と宮尾登美子と腐り合え

右側に産婆の居ない相関図

重力を失くしたボディ・ペインター

そぼろ丼自体が初春ではないが

ウナギイヌかもしれないが微炭酸

母狂う発句とアミノ酸覚え

厨から闘牛場をはじき出す

ポジションを四谷階段にて取った

聖飢魔Ⅱからの手紙がわら半紙

衛星のどこに落とした茶碗蒸し

かわら版手で刷り上げる佐倉魔美

肉体の門にスライム降りしきる

G面のサビがゴドーを待ちながら

じゃんけんを関脇こばむ北の涯

サンリオの柔道場に日々の泡

永遠のサルマタケ採る俵万智

正確に永山則夫たちのたち

コンパスの名が三月のせみくじら

ぬかを買う池田大作百貨店

主題歌に白木葉子の白い牙

投錨後キリマンジャロを録画せず

水星のまわり続ける鯵フライ

三次元へとそびえ立つポテト武者

橋本を蒸せばしばらく町に霧

ヨーヨーを無限につらね郷土史誌


#川柳 #現代川柳 #詩歌 #文芸 #創作 #橋本真也

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