見出し画像

二人が心配な人だけ読んでくれれば幸いな妄想ストーリー

去年から徐々に押し寄せてきた感情。無意識の苛立ち。自分は十分すぎるほど恵まれている。運はかなりいいほうだ。それはわかっているが、バディが、自分を無条件で必要としていたはずの相棒が、別の次元へと続く幸せの扉を開けてしまった。そこは楽しそうだ。愛に溢れている。ただ自分は入れない。入りたいといえば入れてくれるだろう。だがその呑気な優しさが余計に自分をイラつかせる。

単なる愛の世界と言ってしまえば簡単だ。しかしそこは未知のチャレンジという、自分が一番望んでいる、まさしく今自分が一番欲している「変化」と「進化」があるのだ。ずっと成熟し続ける場所。日々忙殺され身体がどんなに疲弊しようとも、その場所へ戻ればまったく違う世界が待っていてくれる。精神が満たされることによって、また新たな面持ちで次に進める。

自分は正直、その愛の形を欲してはいない。ただ変化が欲しいのだ。人生の次の目標といったらいいのか。それを、まさかのスピードと確かさでバディはつかみ、着々と育み始めている。それがなぜか、、なぜかイラつかせるのだ。

他人にはわからない小さな傷がたくさんつけられる。それもまったくどうってことない日常の会話の中で。自分の正義は曲げれられない。頑固なのも自覚している。だがそれを最終的には受け入れてきたバディに、見かけはソフトだが、外界からの攻撃を遮るアーマーが備わった。そのことによって、今までそれが普通であった力関係、言葉遊びに至るまで、そのアーマーによって跳ね返されることが増えた。だが呑気なバディは気づいていない。それをわからせたいジレンマが言葉の端々に棘を含んでしまう。経験したことのない、無償の愛というリーサルウェポンに太刀打ちすることの難しさが身にしみる。

この先は自然な成り行きで、バディの仕事の種類や生活指針も方向転換していくだろう。自分はどうだ?今何がしたいのだろうか。支持者から向けられる愛情はバディの数倍あることは自負しているが、それとは全く別のコンプレックスがどうしても拭いきれない。そう、丁寧な暮らしに代表されるようなごく普通の暮らしと人間関係。たぶん望めばどこにでもある。しかし「拒絶」という、今は妄想でしかないトラウマが苦しめる。

そんな思いが募った年末の喧騒。体も心も疲れていた。ターゲットはただ一人、バディだけだった。彼をちょっと困らせたかったのだ。いつものように。ただそれが大事故になってしまった。自分の一番忌み嫌っている分断を生んだ。ヘイターだけでなく支持者たちの中にも。

その後の、幾度と繰り返される話し合いと作戦とリハーサル。そしていつものように、そう今までとまったく変わることのない温度で、バディは自らをスケープゴートとして差し出した。ほぼプラン通りに、バディがまた支持者を少し失うことで落とし前がついた。

ただこれは誰にでも起こりうる話。青年期が終わり、人生を俯瞰で見るいい機会なのだ。だからただ傍観者として望むのは、自分を幸せにするのを恐れないでほしいということ。頑固はいい。わがままもいい。ちょっとの自分勝手もいい。空気が読めないのもいい。ただ、自分の正直な気持ちを語ることを、大事な相棒にまで恥じて躊躇するようなお年頃は、そろそろ終盤レースということでいいんじゃないか、、そんなことを思った週末だった。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?