どうした、オリックス・バファローズ!

コロナ禍によって延期となっていた、2020シーズンのプロ野球が開幕した。
プロ野球ファンにとっては、漸く訪れた正月である。大体の場合、正月というのは楽しいものである。お年玉をもらい、雑煮を食いながらテレビを見て、眠くなったら転寝をしてという、実に怠惰な生活をしながらがらも、平和な日常を楽しむものだ。
 しかし、オリックス・バファローズのファンにとっては、「正月は冥土の旅の一里塚」となった。開幕からの9試合で1勝8敗。勝率1割1分1厘である。例年、リーグで最下位のチームの勝率は4割5分に届かない程度だろう。そう考えれば、まだ序盤とはいえ、ちょっと想像できないレベルで負け続けている。一休宗純和尚ですら「めでたくもあり、めでたくもなし」と言っているのに、オリックスファンときたら「めでたくない!」と断言するしかない正月を過ごしているのだ。
 負け方もひどい。この9試合を一言で振り返ってみる。

6/19 エースが1失点と踏ん張るも、2番手投手以降が一挙8失点(1-9)
6/20 絶好のチャンスに不可解な代打攻勢を敢行、そのまま敗北(1-2)
6/21 期待の星が鬼気迫る投球で初勝利を手繰り寄せる(4-0)
6/22 移動日
6/23 守護神が乱調、サヨナラ負け(5-6)
6/24 3点のビハインドを跳ね返し逆転するも、すぐに逆転を許す(4-6)
6/25 新人投手が3四球からの満塁本塁打など初回に5失点(0-5)
6/26 エースが3球で負傷降板、最後は中継ぎが崩壊(5-6)
6/27 延長に持ち込むも、最後は投手が崩壊しサヨナラ負け(1-2)
6/28 期待の投手が精彩を欠き、中継ぎ陣も踏ん張り切れない(5-6)

 簡単に振り返っただけでも、この負けパターンの多彩さには恐れ入る。わずか9試合で、あらゆる負けパターンを経験したかのようだ。

 この大敗北に対し、その原因など素人に解ろうはずはない。しかし気になったことだけは指摘しておく。

・暗いベンチ
試合を見ている限り、ベンチの選手から「勝ちたい」という熱が伝わってこない。ひょっとすると「ソーシャルディスタンス」を気にして、「密」を避けるためにおとなしくしているだけかもしれないが、選手同士、或いはコーチを含むベンチが一緒になっての「勝とう」というムードが伝わってこないのだ。淡々と試合をこなし、敗れ去る。感情を表に出さないのもプロの仕事ならば、感情モンスターと化して、勝利への執着を見せるのも、またプロの仕事ではないだろうか。

・ベンチ不信
何か根拠があるわけではない。あくまでも画面を通じて、そう見えるというだけのことではある。しかしこの9試合、ベンチの采配が?なことは確かだ。開幕戦では力投を見せたエースの後に、経験の少ない投手を投入し、大炎上した。かと思えば2試合目では逆転のチャンスに、練習試合でアピールしていた若手ではなく、チャンスを活かすよりはチャンスを作り出すのが得意なベテランを代打に送り、チャンスを潰した。その後は、これでもかとばかりに裏目が続いている。相手投手が崩れかかったところで、打者走者を暴走させたかと思えば、チーム一の俊足に慎重な走塁を要求したりと、その様は「押すべき時に引き、引くべき時に押す」という言葉を地でいっているようだ。
このようなベンチワークが続けば、選手は白けていく。この6連敗の間、打たれた投手がベンチで孤立している様子が、何度となく画面に映し出された。そしてコーチ陣は片隅に固まり、選手を見ようともしていない。「笛吹けど踊らず」ではなく、「笛吹けど聞こえず」という状況であるように見える。まずはベンチは選手を信頼し、選手はベンチを信用するという基本的な関係の構築が必要なのではないだろうか。

・変わらないチーム。
オリックス・バファローズは弱い。6チームしかないパ・リーグで優勝から遠ざかること24年。直近20年間でAクラス入りはわずか2回。もはやパ・リーグのお荷物を通り超えて、「勝ち星払い戻し専用機」と化しているかのようだ。
しかしどういうわけか、人事的には安定している。ドラスティックな改革は行われず、常に安定雇用を見せている。決して強くなかった(むしろ弱かったというべき)前監督はGMに昇格し、その下でヘッドコーチを務めていた人物は監督に昇格。そしてコーチ人事はそれほど変わることなく、弱い時代の指導者が、そのまま指導を続けている。プレーするのは選手、とはいうが、これほどまでに結果が出ていないにも関わらず、安定した雇用が続くというのは、信用第一の金融業を親会社に持つが故なのか?

そんな弱いチームでありながら、侍ジャパンには3人が選出されている。Wエースと打線の軸というべき外野手の3人だ。今季からはバリバリの実績を持つ元メジャー・リーガーも加わった。しかし弱さだけは変わらないどころか、負け方に芸術性すら漂い始めている。
他チームのファンを笑顔にすることが生きがいなのだろうか?
オリックス・バファローズを応援するということは、他を利しながら己を律するという、修行のような行為なのだろうか?

持てるリソースを活かし、チームを改革できる指導者はいないのだろうか?チーム全体を覆う負のオーラを一掃できる闘将はいないのだろうか?

もう少しでいい。強くはなってくれないものだろうか。負けの美学は、これまでで十分に堪能しました。他球団のファンに対して積み上げた功徳の数は、もはや極楽行き確定といっていいレベルです。そろそろ、他球団のファンから慢性的に憎まれるという「悪役」を演じさせてください。

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