オリックス・バファローズ（以下オリックス）が非常事態だ。まあ、四半世紀近く優勝から遠ざかっているので、この球団にとっては、もはや勝てないことは日常であり、その意味では非常事態ではなく常事態（いつも通り）というべきかもしれないが、ファンにとってはやはり非常事態なわけだ。

　優勝争いの常連であるソフトバンク・ホークス（以下ソフトバンク）に連敗を喫し、早ければ8月16日にも自力優勝の可能性が消滅するらしい。因みに昨年、これが消滅したのは6月末だった。そのため「今年はよう粘ったやん」とか、一瞬思ってしまったのだが、今年は6月19日が開幕だったことを思い出し、非常事態だと思い始めた次第だ。

　データをまとめている方の記事を見ると、今季のオリックスのシーズンは以下のような流れだ。

6月（実質10日間）　先発が頑張るも中継ぎ以降が炎上
7月　先発に疲れが見え始め、中継ぎをやりくりしてごまかす
8月　先発は完全にダウン、中継ぎも酷使が祟りダウン

　投手のことばかり書いているが、打者はこの間ずっと「打てない」が続いているため、特に記すほどではない。ソフトバンクを含めた上位陣は、殆どの先発投手が7回まで投げるのに対し、オリックスは8月は1試合のみだそうだ。となれば早い回から中継ぎ陣は出ていくことになり、その試合数も多いため疲労は蓄積されていく。しかも奇跡的にリードしていたとしても、一度ひっくり返されたら、再度ひっくり返す力はない打線をバックにしているため、オリックスのリリーフ陣には「気楽に投げる」という言葉はない。いわば綱一本で辛うじて繋ぎ止められている吊り橋の上を、鉄下駄をはいて全力疾走するような過酷なゲームを強いられているのだ。そりゃ打たれもするし、疲れも増すというものだ。

　ファンとして改善策を考えてみたのだが、こうした時、最も効果的なのは捕手を変えることだ。同じチームと何度も対戦する日本のプロ野球なので、保守のリードも読みやすいのかもしれない。そう思ったのだが、既に第2捕手はそれなりに試合に使われていた。昨年、中日からトレードで来た際には「打てる捕手」という触れ込みだったのだが、これがインチキ訪販業者並みの宣伝文句だったことはすぐに分かった。（一応）レギュラー捕手が2割を切る打率なのに対して、こちらは1割を切る勢いだった。昨季は「パリーグに慣れていないだけ」と思っていたのだが、どうもそうではなくやはり打撃は苦手なようだった。そしてリードも格別いいとも思えない。ということでこの案は却下となった。

　次に考えたのは投手の配置転換だ。先発を後ろに回し、若手に賭けてみるということなのだが、これも既にやっていた。というより若手に頼らざるを得ないという現実があった。オリックスには山岡・山本という2枚看板がいるのだが、山岡は負傷、山本は調子を落としている。この二人に続くのはアルバース選手という助っ人だ。ここまでが計算できる「表のローテーション」なのだが、これに続く「裏のローテーション」は既にまだ実績のない若手選手によって占められていた。通常、実績のない若手はローテーションの谷間と言われる日に「気楽に投げて来いよ」と送り出されるものだが、オリックスにおいては早くもチームの命運を託されている。他チームからも素質を高く評価されている選手が多いのは事実だが、経験を積む間もなく実戦投入されているのだ。士官学校を卒業したばかりなのに、いきなり大事な戦線に送り込まれ、負けたら腹を切れと言われているようなものだ。このスパルタ教育はいずれ花を咲かせるのかもしれないが、同じくらい芽を摘み取る可能性もある危険な賭けだ。ソフトバンクのように戦力に余裕のあるチームならば、絶対に採らないであろう戦略だ。

　打者のことも考えたのだが、こちらは上昇の兆しはない。できることといえば「早いカウントでは打たず、相手投手に球数を放らせる」、「チームとして狙い球を絞り、徹底する」、「ランナーがいる時には右打ちを心掛ける」という、少年野球で教えられることくらいだろう。まあそれもできていないのが現実なので、これは今季中には解決しないだろう。

　こう考えてくると、オリックスが明日、それも光が微かに差す明日を迎えるためには首脳陣の交代しかないという結論に達する。無死一塁では100％送りバントをするような首脳陣ではなく、次の打者が誰かを考えバントを指示するくらいの人たちでいい。ファンの期待値というハードルは、極めて低く設定されているのが、今のオリックスなのだ。誰かこのチームを立て直してやる！という勇者はいないものか？
　ファンサービスなどしない人でもいい。愛想も悪く、他人を小ばかにしたような話し方をする人でもいい。奥さんがメディアで色々言っても怒らない。何なら声優をしている子どももスタジアムDJで雇ってやる！だから落合博満さん、オリックスの監督をやってもらえませんか？