テアゲス(知恵について)-1

今日からプラトン全集を毎日読んで、その日学んだ内容を中心に書いていく。

目的は、読んだ内容の整理と、後で忘れた時に思い出すため。

①121〜122dまで

デモドコス「植物は、植え付け前の段取りは容易であるが、植え付けた後の世話は難しい。人間も、子供を作ることこそ容易で誰でもできるが、子を作った後、その子育ては面倒で厄介極まりない。」

現代でも大変な子育てに、当時のギリシャの人々も悩んでいたようだ。昔も今も、人間に関する問題は変わってない。

(デモドコスの子テアゲスが、自ら〈知者〉になりたい、そのためにソフィストの誰かを教師につけるよう求める。そのことについてデモドコスはソクラテスに相談した。)

ソクラテス「そのことについて相談する前にまず、我々の間で意見の統一を図ろう。それはもしかしたら私とあなたの間でその問題の受け取り方がくい違っていて、そして後になって話し合いがはるかに進んだ時点で、気がついてみると、笑止千万にも、忠告する私と、忠告を求めているあなたとでは、まるっきり別々のことを考えていた、などということがないためです。」

本日の重要ポイント。要するに、ソクラテスが考える〈知者〉は、デモドコスの考える〈知者〉とは違ったものである可能性があり、それはまたテアゲスの考える〈知者〉ともまた違ったものでありうるということ。「知者=様々な分野についての知識が豊富にある人」と考える人もいれば、「知者=ある分野について非常に高い専門知識を持っている人」と考える人もいる。もし後者の定義に従うのなら、前者のように、専門外の分野について博識である必要はないし、また前者の定義に従うのなら、後者のように、ある分野についての専門的な知識を有する必要はない。「広く浅く」か、「狭く深く」か、〈知者〉という言葉は、そう簡単に使えるものではない。(今のはあくまで、〈知者〉の定義についての多義性についての一例に過ぎない。真の知者は、「広く深い」人であるという定義も、当然出てくるからだ。知識量の多さと、各分野における知識の深さについての問題は、プラトンを読んでいれば容易に遭遇する。現代哲学ではどうだろうか。)

まとめ

・生き物を生み出すのは容易いが、それを育てるのは、至極面倒で厄介極まりないこと。(現代も同じ)

・何かについて議論する前に、議論のテーマについて、両者に理解の違いがないか、その統一を図るべし。(今回は〈知者〉。)



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