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”場づくりという冒険”を読んで〜君には他にないキモさがある〜

3月20日に実施予定だった生き方見本市@NIIGATA
全国で実施されているこのイベントの総括であり、新潟開催に向けた多大な協力をいただいた藤本遼さんが本を出版しました。

本書は、著者である藤本遼さんが全国の『場づくり』をしている実践者との対談を通して、『場づくり』について考察しているものです。

僕は4年前から新潟に移住した人の交流会を主催し、最近はプライベートでイベントや場をつくる側に回ることも多くなったこともあり、『場づくり』に対して少なからず課題感というか悩みを持っていました。
本書を読んで、もやもやしていた部分が晴れた、というか「ああ、やっぱりそういう感覚か〜」と仲間を見つけられたような安心感をもらいました。ですので少し共有したいと思います。

僕が持っていた悩みは以下の3点
 ・こなれてくると発生する内輪ノリ
 ・開くことによって逆に狭めている感覚
 ・ユルくやろう〜という場に対する苦手意識
それぞれヒントとなるようなキーワードがあったので、紹介します。

こなれてくると発生する内輪ノリ

僕は人見知りなので(嘘だ!とよく言われるけど)新しく飛び込んだ人に対して優しさがない内輪ノリがすごく苦手です。
本書で紹介されている「週間マガリ」の管理人、小西亮さんは内輪ノリを憎んでいるレベルで書かれいて、なんかウケました。

オルタナティブスペースとかイベントスペースとかめちゃくちゃ行ったんよね。でもそこも内輪ノリだった。「人とのつながり」とか「絆に感謝」とか言っているのに、店主と常連客がずっとしゃべっていて内輪ノリだった。なんかそれが気持ち悪かったんよね。
ー 省略 ー
ちなみにぼくが内輪ノリをここまで嫌うのは、自分たち以外を認めないというコミュニティの排他性や陰湿性なんだよね。

すごく共感。
でも内輪ノリって居心地が良くてすごい楽しい。深く良好な仲が形成されていることの証だから。これを極力減らしていくっていうのはうまく行っている時ほど難しいなぁと感じました。
その解決策として、著者の藤本さんは「定期的にリセットすること」をおすすめしています。場づくりをする人にとって定期的に新しい人が入る仕組みを作ったり、解放したりする「空気孔チェック」が重要なお仕事ですよーと。
そして新しく来る人を大切にすること。初めて来る人はとても勇気を持ってきているかもしれない、とても遠くから来てくれたかもしれない。そういう想像力は本当に大事だと思う。

開くことによって逆に狭めている感覚

「ヘイカモン誰でも来てオーケー」というと、交流できる人(他人と喋るのに抵抗がない人)しか来なくなる気がしています。
たとえば職場の同僚や友人は来づらくなる。僕的には普段のコミュニティは全部混ぜこぜになった方が楽しいし、生きやすい!と思っているのですが、必ずしもそう考えている人は多くない(というより身の回りにほぼいない)
一人で場に来て多様に交流したい人と、仲間内で自分たちの時間を楽しみたい人が混ざり合う余地はないのかな、と悩むことがあります。

さて、ここでも小西さんの言葉に共感。

基本的にソファに座って仲間たちとずっと上司の悪口や愚痴を言っていて。彼らが話しているその空間と「マガリ」にひとりで来て多様な人と交流しようとしている人たちのパラレルワールドが発生するときがあるんよ(笑)でも彼ら同士は全然相容れることなくて。そのときに哀愁がただようよね、やっぱり混ぜることは無理なんかなって。

やはり場をつくる人は、同じような悩みを持っているんだなぁと。
しかしこの後に、お坊さんとギャルがしゃべってるみたいなパラレルワールドの特異点が理想だとも書いてあります。
予定調和じゃないことがおこるのが面白い。

そのためには来て欲しい層には、直接誘ったり、誘ったからにはしっかりとパラレルワールドにならないように特異点を作る動きをホストとしてやらなければならないのだろうと思います。

やっぱ場づくりはそういった「つなぎ役」がめちゃくちゃ大事ですね。

ユルくやろう〜という場に対する苦手意識

キツイのが好きなんです。
追い込み型人間の自分にとっては目的地がわからない場はすごい苦手…。ただネットワーク作るために飲むからおいで。みたいなのが特に。

そんなことを思っていたのですが、著者の藤本さんが場づくりにおけるポイントの中で
・ビジョンや意義をいったん置いてみること
・ニーズを過度に気にしないこと
・コントロールできないと悟り、余白を楽しむこと
を挙げていました。

これ、ビジネスの考え方と真逆ですね。
多様な人が集いたくなる場というのはマーケティング的な思考ではなく、意図しないことばかり起こっても「そういうもんだ」と悟ることが重要なのか〜。
その上で、思いもしないバグが起こることを楽しむ。

う〜ん、難しい。
一見、楽なスタンスっぽいんだけど、器の大きさが試されるなぁ。

まとめ

長くなってしまいましたが、コロナで誰にも会えない今だからこそ「場づくり」について考えたくなりました。
オンラインはたくさんの人と出会えますが、目的がある上で出会うことが多いので、リアルに比べかなり出会いの偏りが発生しています。あとオンラインが使いこなせない人は、出会い自体の格差も。

本書の締めには、
場づくりは地域活動やコミュニティスペースの運営をしている人のためだけじゃない。家族や友人、職場さまざまな関係のあり方や繋がり方を再編集することで「場づくり」の可能性がある。
と書いてあります。

関係人口やシェアリングが急速に広まりそうな気配があった令和。
そういった関係性の価値観は、コロナによってぶっ壊された感がありますが、逆に閉じている場の再編集に目が向けられてくるのではないかと本書を読み感じました。拡張家族のciftみたいな。

最後に、タイトルの「君には他にないキモさがある。」は小西亮さんが最初に就職した広告代理店の採用理由だそうです。
非常にツボったので全く関係ないですがタイトルに載せときました。笑

と、読書感想文を書いていたらこんなイベントが立ち上がっていた。
みなさま興味があったら飛び込んでみましょう。意味不明な出会いがあるかもです。

壮大な宣伝みたいになってしまったw

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