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ひよこ日記。マリアンヌ・ミラベル•パーカーとヨハン・エルンスト・フォン•4世は腐れ縁。

マリアンヌ•ミラベル・パーカーことミラは
眼の前で酔い潰れた男を眺めている。

大してお酒強いわけでもないのに

23:00の隠れた場所にある近所の馴染みのバー
ミラ部長ことマリアンヌは同僚のヨハンことエルンストにSOSの電話を受けた。

…悪い…財布忘れてきた、今気がついた。
立て替えてくれない?明日必ず返す。あそこのバーにいる

は?なにしてんの?てか、あんた!
プチッ。ツーツーツー…

…おまえええええ

マリアンヌは今日も目一杯働きまくって
クタクタで帰ってきてそれでもがんばってメイクを落としてシャワーを浴び、気分さっぱりしてルームウェアに着替え、作り置きしている具だくさんスープとサラダを冷蔵庫から出して軽いディナーを食べ、お気に入りのドラマの続きを観ようとしていたところに同僚のエルンストからたーすーけーてーみーらーおーねーがーいーーーというなんとも情けない連絡をうけたのだった

アイツ一回シメとく必要があるな。と
マリアンヌはパーカーにデニムにコンバースに
すっぴんでバッグをひっつかみ家をでた。

店は近所だから歩いていく。

…は、やばっ!すっぴんだった…と気がつくもまあ、いいやどうせヨハンだし。

ミラのことをマリーと呼ぶのはヨハンことエルンストだけだ。かつてもう一人いたけれど、その人は今遠い場所にいる。

店につくとカウンターに突っ伏してるヨハンがいた。客はヨハンだけで店のマスターは
ミラが来るといらっしゃい。と笑顔で挨拶してくれた。

ごめんなさいね、迷惑かけちゃって。
で、お会計はいくらなの?

申し訳ないね。
明日でいいよ。っていったんだけどね。

そうなの?

ミラもなんか飲んだら??一杯おごるよ
せっかくだし、どう?

え?いいの?
もちろん。いつもがんばってるミラ嬢に労いさ。

あら。そう…ならフレンチギムレットとかでもいいかしら?

フレンチギムレットね。了解

スツールに座って、隣ですやすや寝ているエルンストを横目に出されたギムレットを飲む。

失敗しちゃった。
どうしたの?

こんな格好でギムレット飲むなんて

いいじゃない。そういうときもあるさ
アカデミーの頃はそういう姿がふつうだったけどね。

わたしもういい大人だもん

そうだねえ。ミラはよくがんばったよね。

はあ…もう。

ねえ、起きるとおもう?
どうだろ。疲れてたみたいだしね

まあねえ。

どうしてこいつは仕事以外がポンコツなんだろう。なまじ顔がいいだけに残念でもある。

こういう光景懐かしいね
そうねえ…

ミラはもういいの?
ん?
ヨハンは全然よくないみたいだけど?

…知らない

マスターが優しくエルンストを揺さぶり起こす。
ヨハン、ヨハン。ミラが来たよ?

…んーっ?あれ、マリーきた?

来た?じゃないわよ、あんたが呼んだんでしょうが!ほら水っ!!

ああ、ごめんねえ

明日倍にして返してね?
家の鍵はあるんでしょうね?

まさかないの?

たはは

うそ?失くしたの?

忘れてきた。と、おもう。

どこに?

ここ。探索機能で鍵と財布の場所がわかるらしい。アカデミーの自分のデスク

じゃあ、取りにいきなさいよ
無理。もう閉まってるし

どうするの?

一生のおねがい。泊めて?

いや、だって!おねがいだよう、マリー

朝までここにいたら?

ごめん、ミラもうすぐ閉店なんだ。
それに今日はこれから用事があるから泊めてあげられないんだ。

マジで?

おねがいだようマリー
助けるとおもってさあ。

ちょっと待ってちょっと待って。
ゲストルーム片付いてるよね?
散らかしてないよね?

マリアンヌは返事をせずに頭を巡らせる

宿泊料金も上乗せしてはらってもらうわよ?

ぜんっぜんいいよ。払う払うマジで払う

マスター、紙とペンちょうだい。あと朱肉あるかしら?

笑いながらマスターは紙とペンを渡してくれた。

念書かけ。

へ?

念書よ、念書!支払う金額と住所にフルネームと拇印して。

マスター、マリーがイジメる

ヨハン、ミラはすごく優しいだろ?

冗談だよ。
エルンストはサラサラと念書を書いて拇印もきっちり押した。

さ、帰ろうかマリー

あんたの家じゃないから

マスターとバーテンダーはくすくす笑ってる

ミラ。ご愁傷さま。と笑って送り出された

なんなのよ?あんたは!

あぁほんとごめんってば。

しばらく歩いてハタと気がつく

ねえ、変じゃない?

ん?

わざとじゃないの?

そんなことないさ。

いーやっ、なんかあざとい匂いがする

勘ぐり過ぎでしょ?

あんた昔っからそういうとこある

すげー言い草だなあ

パラパラと雨が降っている

あ、着替どうしよ。

まあ、明日休みだからオレ

わたし仕事なんですけど。

じゃあオレが家を片付けておいてやるから

いいです、結構です。

遠慮しなくっていいよ?マリー
僕らの仲じゃないか

どんな仲なのよ?!

え?アカデミーからの親友で、なおかつ同期の同僚で。…えーっとなんていうか元カノ?

元カノじゃないから。

じゃあ今カノになる気は?

ないですね。

つれないなあ

一回シバいたほうが良さそうね。

冷たいこというなよ

なんであんたいっつもそうなのよ
ちゃんとしなさいよ

してるじゃん?ちゃーんと仕事してるよ?

それ以外よ。フラフラするのやめなさいよ
あっちこっち遊び回るのいい加減やめたら?

してないよ。

あんたみたいなめんどくさい男の面倒わたしがなんでみないといけないのよ

だからいいんじゃないか

いやその理論がぜんっぜん意味わかんないから!

家に着いた。
ヨハンはへえーっとキョロキョロ見渡している

マリーこんなとこに住んでるんだ、へぇ~っ

二度と来なくていいわよ

来ないよ。来ないけど毎日帰ってくるかもしれない。

は?

いつの間にやら酔が覚めたようなヨハンは
やたら真面目な顔をした。

さあ、本題にはいろうか。
マリアンヌ、もう一度チャンスをちょうだい

いつの話をしているのかしら?

10年前くらいからの話かな?

2回目はないのよ。ヨハン

じゃあもう一回最初からはじめない?

引く手あまたなんでしょう?

まさかヤキモチ?

あんたバカなの?

…えーっとじゃあ10年まえの謝罪からしたいんだけど

むしろ時効でしょうが。わざわざ蒸し返さなくていいし。

ほんとガードが固いよねマリーちゃんはさ

あんたがユルユルなだけよ

いやあ、ほんとあのときの俺はバカだよなあ

ほんとバカですね。

ぶっ、あはははは

ところでさあ。マリーはまだ誰もいないの?

ノーコメント

じゃあまだいないんだね?

仕事忙しいのよ。見たらわかるでしょう?
ケンカ売りにきたの?外に放り出すわよ?

よかった。じゃあ俺マリーの恋人になる。

ならなくていいです。

ふざけてないでさっさと寝なさいよ、ゲストルームはここ。バスルームもあるから。着替は…
知らない。ないし。

遠慮しないで僕と寝たらいいじゃない

結構です。そういうチャラいことばっかり言ったりするからイヤなの。わたし。

…えーっとマリー、聞いて。1分かからない。


財布と鍵は忘れても10年前から渡すことができなかったとかいう指輪は忘れてこないっていう策士がここにいます







































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