おなかいっぱいカレーを食べた。昼からは溜まっていた仕事の振り分けを始めた。フレッドさんが裏でコソッと手伝ってくれるらしい。

前にこの部署にいたから仕事のやり方も手順も何ならミスも見つけてくれるのでとても助かった。

ホムパの日、僕はミシェルさんとMKHDのエントランスで待ち合わせをして手土産を買うべくラファイエットに寄った。

ちょっといいやつにしよう。泊まらせてもらうわけだし。ミシェルさんはホムパだからと張り切ってお酒を見てる。

あの、水を差すようであれなんですけど…
今日はあまり飲まないでもらえたら。

なんで？

その後勉強するから。

そうなの？ハル君今日帰りどうするの？

泊まらせてもらうことにしました。

そうなんだ？！

で、そのー、フレッドさん、そのー…すいません！フレッドさんはミシェルさんの試験の事知っちゃいました！ほんとすいません

ああ、そうなのね。構わないわよ。
ひよたちなら知ってても知らないふりしてくれるもの。

なのでお酒はそこそこにして勉強の余力残してもらえたらたすかります。

えっ、いや私の方こそ…せっかくのホムパなのに勉強に付き合わせちゃってごめんなさい

それはいいんです！ぜんぜんいいんです！

ミシェルさんはありがとうっていって笑ってくれた。キラキラの笑顔だった。

フレッドさん達の家にいくと
ひよこが廊下をタタタッと小走りに走ってやってきた。

いらっしゃい！待ってたの！あがって！

ひよこ！走るな。行儀が悪い！！とキッチンのほうから声がするのはフレッドさんだ。何かしてるらしく手が離せないらしい。

小姑フレッド！べーっ！！

なんなのこの二人おもしろいんですけど

ひよこちゃん、つかまえた。

と、ひよこの後を歩いてきて一緒に出迎えてくれたのはアルベルトさんだ。シャツにパンツのラフなカッコなのになぜこんなにキマってるんだ。あまりにもさり気なく当りまえのようにひよこを後ろから抱き込んで挨拶してきた。

甘やかすなアルベルト。フレッドさんがいってる。

どこ吹く風なアルベルトさんの様子にミシェルさんと僕は顔を見合わせて笑いあった。

今日はお招きありがとうございます。

いらっしゃい。待ってたよ。どうぞ入って。
ダイニングに入るとキッチンから美味しそうな肉料理の匂いがする。

今日はなに？

フレッドのローストビーフ！美味しいんだよ！
ねー？フレッド。

ああ、今日のは特にうまくいった。

さっきまでケンカしてたはずなのにもう仲直り？早くない？

ぼそっと独り言が聞こえたのかミシェルさんが笑いだした

どしたのミシェル？

いや(笑)

ミシェルさんが僕をちらっとみて笑ってる
僕もおかしくなってつられて笑った。

ねえ…さっきから思ってたんだけどひよの服めちゃ可愛い！

あ？これ？

うん、これモネ？

わかった？そうなの！可愛いでしょ？

へえー、私には似合わない柄だけどこういうのもイイね。絵画柄のフレアスカートなんてあるんだ。。ちょっと触らせて？…わ、シルクじゃない！それにカシミヤのセーターなんて。やるわね、ひよこ。

うひひ。ありがと。

女のコ同士の会話。僕はこういうのさっぱりわからないけど。ミシェルさんはどこで洋服選んでるんだろう？ちょっと興味ある。

アルベルトさんが僕をじっと見てる

どうしました？

いや。ハル君もうすぐスーツ買い替えの時期だね。

あ！…ですね。

ひよこがアルベルトさんに
今度お休みの日にハルと一緒にお買い物付きあってあげたらいいじゃない。

ミシェルさんが
え、それ私も一緒に行きたいかも。

あ、じゃあみんなでいこ？アルいい？

もちろん。ひよこちゃんの頼みであれば。

だって。いこ？

南仏の時よりもさらに甘い感じがするのは
僕だけの印象なのだろうか。

ひよ、あのね。

うん。

ハル君に勉強教えてもらってるの。

うん

で、今日もそうしたいんだけど。

いいじゃん、どうぞ！

まだ時間あるしテオ達くるのまだかかるから
先にやってれば？

いいの？

ぜんっぜんかまわないよ？

だって。

一時間くらいしたら呼びに行くから下の部屋使って？

かくして僕らは部屋の一室を借りて
勉強を始めたのであった。