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大人のためのファンタジー 《ショーシャンクの空に》 【映画感想文】

 《ショーシャンクの空に》が地上波で放映されるようですね。まだ観ていない方は、この機会に是非ご覧になってみて下さい。

 あまりに有名なので、かえって観る気が削がれる…的な意見を見かけたことがありますが、この映画は、そうやって斜に構えるような作品ではないんですよ。地上波でやっているから、ま、観てみるか。それぐらいの軽い気持ちでいいと思うんです。

 ただし、かなりの長尺で、テンポ良く話が進むわけでもないので、気が急いている時にはおすすめしません。録画して、後でゆっくり観る方がいいかもしれません。

 また、人生順風満帆、なぜなら人より努力してきたから。そう考えている方にも、良さがわからない作品かもしれません。

 どれだけ努力しても、真面目に、誠実に日々を過ごしていても、報われないこともある。それどころか、不条理という名の沼に沈んでしまうこともある。…この文章に肯ける方に、観ていただきたい映画です。

 主人公のアンディ(ティム・ロビンス)は、これでもかというぐらいに、次から次へと理不尽な目に遭うんですね。といって、「アンディに比べれば、私はまだマシ」と傷を舐め合うような映画ではないのだけれど。理不尽な目に遭っても、希望と矜持を失わず、前を向きたい。自然とそう思えてくるから、不思議です。
 ナレーター役でもあるレッド(モーガン・フリーマン)が、アンディと出会って変わったように、映画を観ている私達の気持ちまで変えてくれる作品なのかもしれません。

 希望はいいものだ。
 多分、最高のものだ。
 そして、いいものは決して滅びない。

 この映画では、モーツァルトのオペラ《フィガロの結婚》の〈手紙の二重唱(そよ風に寄せて)〉が効果的に使われています。個人的に、CDで聴くにはちょっと長いなと感じてしまうオペラなのですが、ハイライト版がありました。多分、映画で使われているのと同じ演奏です。15番曲目が〈手紙の二重唱〉(デジタル版がAmazonミュージックにあります)。


 映像なら、長さを感じることもありません。演奏・演出どちらも素晴らしく、出演者も有名な方ばかり。オペラ入門としてもおすすめの一枚です。


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