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Oxford大学生設定の映画Saltburnを観てきた話

日本未公開とのことで核心に迫るネタバレはなるべく避けてますが、気になる方はどうか読まないでね✋🏻✨
あとバリー・コーガン氏のことは私はダンケルクで知って以来好きな俳優さんですが、今回その視点からは書いておらず、コアファンの方には物足りないと思います。
要するに、毎度の如くどうでも良いことを書いてます。🙇🏻🙇🏻🙇🏻

さて、ロンドンでいつも利用させていただいてる大好きな映画館にバービカン・シネマというところが有るのですが、話題作かどうかは問わず、いつもとても良くセレクトされた映画を上映されています。社会的、サブカル的な視点から取り上げたインディーズ映画祭をされたり、かと言えば普通にDUNEや007も上映したり、映画を観るということに飽きさせない。利用者が少なめなせいか清潔なのも大変有り難いです。イギリスの一般的な映画館はとても汚いですからね!貴重👍🏻
シアターが3つしかなく上映数は少ない為、今回4つ上映中だった作品の中からバリー・コーガン主演、人気のオーストラリア俳優ジェイコブ・エロルディ出演で話題の「ソルトバーン」を選びました。バービカンシネマのキュレーションに少々期待を込め過ぎてたようで、観た直後に別のところへあげた感想ではやや辛辣になってしまった為😅たいへん反省しております。
なので、ここでは素人ダメ出し的な烏滸がましいことはせず、外側のところから少し書いてみようかな。

プロットとしては、
奨学生として名門大学に入学した一般家庭出身者である主人公オリバー(愛称はオリー)が、同じキャンパス内のスーパーきらきら✨君で大金持ちの御曹司フィリックスと出会い、気に入られ、休みの間豪邸に招かれるが・・というサスペンスストーリーとなっております。
と、これ以上はネタバレとなって来るので書かないけれど、私が今書いたプロットの中にもやや含みが有る。映画は、最初から何かが起きた後をにおわす主人公の独白によって語られる回想シーンの体をとってるので、それがサスペンスであるというのは観てる者にとって自明な仕組みとなっています。

今回はあえて横からの視点として、登場人物たちが「オクスフォード大学の学生(とその家族)」であるところに注目して、思ったことを書いてみようと思ってます。

まず先に書いておくと、オクスフォード大学はよく許可したな😅と思った。まあ作品表現に関しては、許可するとかしないとかじゃないのか知れないですけれどね。撮影は許可制だったにしても。
わざわざオクスフォード大学&その学生たちだと名前を出しておきながら、描かれようがちょっと酷いかなと思った次第。例えばこれ、慶應大学の学生だという設定でキャンパスや学校寮のロケもした上で、性の乱れも含む段違いにお金のある人たちの世界とか、そこへへつらい追随する一般学生、挙げ句の果てに◯◯事件起こすとかは、ちょっと無いんじゃないかなと思うのですよ。もはや名誉毀損みたいな。まあ私に直接関係ないことながら、少し気になりました。

冒頭のシーンで新入生歓迎の垂れ幕に「2006年」と有ったので、さほど大昔でもない設定(17年前は十分に大昔と感じる人もあるかも知れないけれど😅ホーキング博士が居た頃とかじゃないよって意味)となります。
その上で、主人公オリバーが出会う友だちが・・

マイケル/数学のナード
ファーレィ/先にフィリップの取り巻きだった
フィリップ/全てに於いて勝ち組のきらきら君

・・ということなんだけれど、

マイケルについて>
オクスフォード大学って、今もマイケルみたいなタイプの子が入学できるのだろうか?とちょっと疑問に思ってしまった。出来るのかもな。世界有数の研究大学なのだし。
マイケル君がどれほど数学の才能に突出した設定なのか作中からは分かり難い(2桁の掛け算を即答するシーンは有ったけれど数学研究者の才能はそんなもので測れないだろう)ですが、私が今、在英のママ友や教育界隈から見聞きして感じるのは、いわゆる有名大にナード的人物は入り難くなって来ており、受験の構造として選ばれ易いのはやはり、成績優秀+好人物をアピール出来る生徒さんとなって来ている傾向。
もしマイケル君が数学力を武器に数学科に入った設定だとしても、現実的には、例えば数学オリンピックで好成績を修めておくとか、高校生論文を発表するとか、ポジティブ頑張り要素みたいなのが要求される為、いくらフィクションにしても、実態に則さない如何にもな先入観で描かれてる気がした。
マイケル君のようなタイプの数学ナードは今も昔も実際に存在するでしょうが、有名大学へのアプローチという意味では今はどうなんでしょうね。何となく私の感覚としては、そういう人たちはもっと入学的にも奨学金的にもハードルの低い地方の中堅大学に属して研究ベースで世界と繋がるか、或いは一足飛びにもうカルフォルニア・バークレイとかに進学するのではなかろうかという気がしました。
有名校には教授推薦枠(いわゆるコネとは違うやつ)もあると思うので、映画の裏設定で既に何か偉業を成し遂げた大天才みたいな感じなのであれば分からないですが。

ファーレィについて>
こういう子は居る、と思った。
こういった言わば世渡り上手な子たちが、上位の学校へ行くにつれ一定数のシェアを占めて来ることは避けられないのではないか。或いは、有名校という環境がこのような世渡りスキルを身につけることを促すのかも知れません。これは揶揄するとか悪い意味で書いてるのではないですよ!✋🏻
名門大学の学費は、これ払える人たちって世の中にそんなに居るもん?てくらいに高いから、多くの生徒さんが何らかの形で奨学金を得ているにしても、奨学金を得るという行為そのものが結局は入学に際しても要求される陽キャラ体質に共通するところが有り、ここへ辿り着くまでも、辿り着いてからも、幾重にも世渡りのフィルターが存在している状況。
それは簡単に言えば高度な社会性ということになるわけで、大学が言外にそれを教えていると言えるかも知れないし、本来の研究内容とは関係の無い能力が研究を続けてゆく為に要求されるという、矛盾した状態なのかも知れません。
大学に何の為に在籍するのか、といったこととも絡んでくる問題ですが、ファーレィ君なんかは典型的な、大学には在籍する為に在籍しているタイプ。大学という存在がもはや純粋な研究のための機関ではなくなり、より良い人生への通過点となって来ている以上、そして今のような競争の頂点を目指す入学選抜をしている以上は、仕方がないことのような気がします。むしろ大学がそのような人材を求めているとも言える。
ストーリーの中でのファーレィ君は残念な結果となってしまいましたが、実際には全く非難されるべきところは無いと思いました。
この俳優さんはググってもあまりお名前が出て来ないのでまだまだ駆け出しなのかも知れませんが、実はストーリー的にはマイケルや初期のオリバー的な存在と、フィリックス的な存在を繋ぐ重要な役割りを果たしてる。のちのオリバーの行動に説得力を持たせるためにも、もう少しだけ丁寧にファーレィ君の見せ場を作ってあげたら良かったのになと思いました。

フィリックスについて>
準主役のきらきら系御曹司ですが、オクスフォード大学には正にこういう子が居るだろうし、オクスフォード大に入る前の段階として、パブリックスクールにもこういう子たちが多数在籍されてますよ!✋🏻(前にパブリックスクールにお子さんが通ってらっしゃるらしい日本人女性が「そんなことない」「普通に優秀な子ばかり」という趣旨で書かれてるのを拝見したから学校や交際範囲によるのかも)
一般的に、人生ではいろんな経験をしておいた方が視野が広がり想像力が柔軟になり、従って優しく徳の高い(?)人間となれると言われていますが、飛び抜けたお金持ちや、生まれながらに全ての才能を持ったような人たちがこの世の中には存在するといったことも、経験しておくと役に立つと思いますか?それともこうやって映画やネットで知識として知ればそれで十分な類の情報?
私は経営の仕事や、香港のある分野の(あえてボカしますが察する人がいらっしゃったら隠してません)お付き合いを通して、いろんな方と知り合ったした中でそれなりにお金持ち文化は垣間見て来たと思うのだけれど、しかし息子がこちらの学校に入ってから知った人たちの生態はまた違ったものでした。その前も香港のインターナショナルスクールだったのだけれど、そういうところにいらっしゃるお金持ちはどちらかと言えばまだ私たちの側のお金持ちであり「彼ら」はそうではないという感じ。うまく言えませんが。ただ、これも想像力の問題だから、私には実際に身近にまみえるまで実感が湧かなかったけれども、他の方々には知識として聞けば十分想像は付くということは有るのかも知れない。
知らなくても自分の人生に全く必要の無いことなのですが、私は少し垣間見る機会に恵まれた為、この映画での描き方は又しても惜しいというか、本来その異端さ(?おかしさ?或いはマイノリティの特殊さ?)がこのプロットの肝じゃないのか😭と思ってしまった。ひょっとしたら監督さんは既にそういう世界と隣接する生活を長らくしており、深く説明せずとも「あゝそういう人たちね」と分かってもらえる層に向けて描いてるのかも知れません。
マイノリティへを知ろう、マイノリティに配慮しようというのが社会常識となって来ている昨今の傾向ですが、上位に飛び出したのもマイノリティなんだけれど・・どうなんでしょうね。
下突出はことさら気にかけられるが、上の突出は馬鹿にされたり人権すら迫害されて嘲笑されがち。この映画での描かれ方は理解を誘うものだったかな?と、ちょっと思ってしまいました。
上下を付けたのは誰。

作中特に触れられてないけれど、フィリックス君のご実家は典型的な田舎のランドロード(地主)と思われるので、フィリックス君も大学を出たら変に雇われてみたりはせずに家を継ぐのかも知れませんね。息子の学校にも大地主さんのご子息がいらっしゃって、学業成績はそれなりに素晴らしいところを修められてるにも関わらず、大学は農業生物学へ進学し、その後企業へ就職したりはしないと決めてるお子さんはいらっしゃるようです。日本で言うと宮沢賢治のようだな。☺️
宮沢賢治さんは少し違った要素も入って来るようですが、ヨーロッパにもそのような地主生物学者によって築かれた学術の歴史が有ります。

そして、これら若者たちを中心に
あれしてコレしてと加速度的にストーリーは終盤へ差し掛かるわけですが、
女性たちの役割がもう屑のようだ😭

女性監督らしいのですが、私は別に作品を作る際に女性人権に配慮しなければならないと迄思わない。ただ、そんなに絡んで来ない女性たちがあまりにも酷くて、そっち側(どっち側かはネタバレなので🙇🏻)なのは実際の世界ではそうでもないのではないかと思うから少し残念かな。
監督さんは要するにバリーファンであり、有名監督の特権を行使した作品かなという気がしました✋🏻

すみません結局は辛辣。
我ながら何様コメントかと思っております。
🙇🏻🙇🏻🙇🏻