見出し画像

勇者または勇者のパーティーになれと王様に命令されたが 超絶面倒臭いので断わりました 11話

      今何が起こったの?
萌「転生者ですって!!」
要「何を馬鹿な事を!!未だ嘗て転生者が居たと言う事実など有り得ません!!」
セシル「ですが本当に!!」
彰「転生者?」
輝「テンプレだな?結局お前も常識だけに捕らわれてんだよ」
 輝が言いたいのは転移者も召喚者も元の生活からしたら常識外れ、そんな世界であるのに今更転生者は有り得ない。それを聞いて理解した萌と要は息を飲んだ。
萌「一体どんなギフトを貰ったって言うのよ」
彰「国を1つ滅ぼすギフトとか?」
輝「ハハハハハお前の頭は軽くて良いな?」
彰「何だと!!」
輝「でもそう言うの嫌いじゃないぜ?」
要「国を···では邪神国を潰したって言う剣士って言うのは」
 それを理解した要は警戒心MAX、敵対心MAX、フルパワーで輝と対峙した。その凄まじい気迫に彰と萌は後退りをする、だがセシルは剣を握り締め要の戦闘範囲まで近付く、そんなセシルを萌が止めに声を掛けるが全く届いていない、すかさず輝を見るが腕を組んで様子を伺っているだけだ。
萌「ちょっと!!セシルちゃん死ぬわよ!!何であんたは戦わないのよ!!」
彰「え!!セシルちゃん死んじゃうの?」
萌「そう!!だからあんたも戦いなさい、私は後方から援護するから」
輝「奴の力はSSSクラス、今のお前達では死ぬぞ?」
萌「だったらあんたがやりなさいよ!!」
 だが輝はそれには答えずただセシルの戦いを見守るだけだった。そしてセシルから攻撃を仕掛けた!!初手は躱され二撃目は受け流され、三撃目には受け止められてしまった。セシルの力を見切ったのか要は笑みを浮かべている。
要は「確かにこの女は強い、だがまだ私と戦うレベルではない」
 そして強烈な一撃をセシルの腹部に食らわせた。致命傷では無いにしろダメージはあった様で、セシルは膝を地に付けてしまった。「セシルちゃん!!」と声を掛けるが彰の足は恐怖から動かす事が出来ない、それを見た萌が舌打ちをして特大の炎系魔法を放った。
 轟音と共に要に向った魔法はそんな事が有り得るのだろうか?要は素手で上空へと弾き飛ばしてしまう。
萌「魔法を素手で弾き飛ばすですって!!しかも炎系最高魔法よ?」
輝「お前もテンプレだな?今のは奴が弾く寸前にだけ両手に魔法障壁を張ったんだ、だがお前の魔力も大したもんだ、余裕の顔を見せてはいるが、確りとダメージは与えている」
萌「そんな風には見えないけれど?」
輝「それはお前の力量不足だ、奴の数値は大方1200SSSクラスだろう、で今の攻撃で100は減ったぞ?後11発射てば奴を仕留められる」
萌は「そんな事出来る訳無いじゃない!!今ので魔力を半分以上持って行かれてんのよ!!」
輝「そうか、だったらそこの勇者と一緒に大人しくセシルの戦いを見ているといい」
 「何故あなたは戦わない!!」萌の熱い問い掛け「セシルちゃんを助けてくれ!!」彰の愛の叫びに輝は答えもせず、新たに攻撃を仕掛けたセシルの戦いを見詰めていた。
 『数値』『クラス』とは数値はその者の生命数、攻撃力や魔力量は数値化されており生命力とリンクしている、だからゼロになってしまう事は死を意味する。回復させる事は可能だが、萌の様に回復魔法を使える者はとても少なく希少となっていた。その為冒険者達は戦闘に行く前に大量のポーションを所持して行くのだ。
 そしてクラスとは数値のランク分けでありGランクからSSSまであり、人間の最高到達点はSまでと言われている。だが彰や萌の様にギフトを貰っている者はその限界を越える事が稀にあるらしい、その証拠に彰も萌もSS級であった。

 激しい戦いは続いている、だが一向にセシルの攻撃は当たらずただセシルのダメージが加算されて行くだけだった。
セシル「全然当たらない···魔人がこれ程強かったなんて、輝様の言う通りだったわ」
 セシルが敵の力量を見誤って反省している所でやっと彰と萌が仕掛ける様だ、そして雄叫びと共に彰が突進し、それを援護する様に萌は風魔法を放った。
 バキィ!!
 鈍い音の後風魔法は要に躱され、強烈な一撃を喰らった彰が元の位置まで吹き飛んで来た。
セシル「彰さん!!大丈夫ですか!!」
萌「彰!!」
彰「ハ、ハハハ···セシルちゃんに心配して貰えたから俺これでもういいや」
萌「馬鹿!!あたしだって心配してんじゃない!!何よセシルセシルって!!私の方が付き合い長いじゃない!!」
彰「え?······お前若しかして俺の事」
 バキィ!!
 萌は彰に追い打ちの一撃を喰らわせる、そして再度セシルが要に立ち向かおうとした瞬間、輝がセシルを止めた。
要「何だ、やっと大将のお出ましですか?私としてはそこで見ていてくれた方が···いや、この場から去って貰えると助かるんですがね?」
輝「ほう···どうやら馬鹿では無かった様だな?済まなかった、お前を軽く見ていた。ではお詫びと言っては何だが······セシル、そろそろ本気出せ、何故リングを外して戦っている、それに怒りが先行して無駄に力み過ぎだ、だからお前は成長しないんだ」
要「リング?本気だと?何を馬鹿な事を······」
 だが輝の余裕な表情を見て息を飲み、必死に謝罪しているセシルを見て再び息を飲んだ。またそれを聞いていた萌も同様、彰を治療しながら輝の言葉の意味を理解するのがやっとだった。
萌「じょ、冗談でしょう?この世界の人間がSSSと対等に戦える力があるだなんて」
 そこでこの戦闘で輝が何度も口にした言葉を思い出した『テンプレート』常識に囚われ過ぎ。そしてキーワードであるリング、萌はセシルが左薬指に指輪を嵌めるのを見た。
萌『あれって結婚指輪じゃ無かったんだ、何で左の薬指なんかに』紛らわしいとは思ったが、実の所輝は口には出していなかっただけで、満更でもない無いらしい、そして言うまでもなくセシルは輝を慕う以上の感情を持っている。二人の表情を見てそう理解したのだった。

 戦闘形態がガラリと変わった、まるで別人·····力、速さ、動きが全て桁違いに上がっている。一方的にやられ続ける要を呆然と見詰める彰と萌、状況が全く飲み込めていない様子に珍しく輝が二人に自身のギフトの事を話し始めた。
彰「何だよその能力、チーターなんてレベルじゃないじゃないか」
萌「でも······良くそんな状況でスキル複合だなんて考え付くわね?」
輝「ハハハハハ生前は引き篭もりのゲーマーだったからな?質問の途中で若しかしたらって思ってよ?カマかけてみたらドンピシャだったって事だ」
 「ズルい!!」と拗ねる彰に萌は私達は生きて元の世界に帰れるのだからと宥めていた。
輝「セシル、時間掛け過ぎだそろそろ終わりにしてくれ」
セシル「畏まりました、では止めを刺させて頂きます」
 セシルが最後の構えに入った途端、要が雄叫びを上げた!!辺りの空気が変わる、振動する、そして薄っすらとだが要の身体が光り出した。
萌「何あれ!!今までと雰囲気が違う!!」
輝「残りの生命力を自爆に切り替えたな?」
彰「何だって!!じゃぁセシルちゃんに攻撃を止めさせないと!!」
輝「多分大丈夫だろ?」
萌「何呑気な事言ってんのよ!!万が一セシルちゃんに何かあったら、それこそあの綺麗な顔に一生残る傷でも付いたらどうするのよ!!」
 輝は頭を掻きながら、確かにアレが爆発したらセシルは大きなダメージを受けるだろうが、傷とかって回復魔法で治せるだろうに···と腹の中で思うも、口に出した言葉はいつものだった。
輝「仕方ないなぁ···今回だけだぞ?面倒事に巻き込まれるのは嫌いなんだけどなぁ」
萌「えぇ!!ここまで出しゃばっといて面倒事が嫌いって······」
 輝はセシルを止め自身がやる事を告げる、そして結末は一瞬だった。

萌「い、今何が起こったの?·········」

この記事が参加している募集

スキしてみて

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?