NIWAのはなし(III)
自分が本好きだとは、考えたことがない。私の従姉妹の娘は、本を片時も離さず「フィクションの世界で呼吸しているみたい」と母親に言わしめたほどの本好きで、大学の専攻も図書館学とかだったから筋金入りだ。彼女にとって本の世界は、飛行機内に突如として落下してくる酸素マスクのようなものだと想像する。あるいは肩に背負ったボンベか、アシストロボみたいなものかと。
その点、彼女とくらべ自分は身一つで生きている。本にアディクトするのが怖いから、読むときはフィクションとノンフィクションをおり混ぜ三