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“等身大の自分”を明るく生き抜く女優、ジュリー・デルピーの魅力

人にはそれぞれの悩みがあり、あるひとには心を覆う深刻なことでも、他のひとにはそうは思えないことや、切れた電球を取り替えることもスーパーの閉まる時間も重要だけれど、地球上で起きている争いごとのほうが解決すべき問題なのも間違いない。

つまり、考えるべきことには階層があって、鳥目でみたり、虫眼で見たり、自分の経験で考えたり、読んで知っていることで考えてみたり。そんな大げさでなくとも、大切な身近な人に対しては、常に「誠実に存在したい」と思っているのではないだろうか。

しかし実際には、その気持ちが裏目に出たり誤解を生んだりして、それは叶わず。タイミングだってそれぞれで、できない自分を責めたくもなる。私が気づいているだけでも世の中の問題は(自分の問題も!)、山積みなのだ。

それでも、身近な問題のひとつずつを解決していくしかないので、チームになるか優先順位をつけるか、はたまた問題に蓋をするか、だ。いや、蓋をすることだけは避けたい。

と、そんなことをかなり真剣に悩んだりするのだが、ほぼ自分と同世代の女性で、「映画」というわかりやすい総合芸術と「女優」「映画監督」「脚本家」という表現者の立場をフルに使って、いい意味でそれらを「いっしょくた」に描き続けている女優がいる。

フランスのジュリー・デルピー(Julie Delpy)。

映画『BEFOREシリーズ』で20代、30代、40代を。『恋人二日間シリーズ』でパリとNYを。視点や場所を変えて、同じテーマ“人間関係”を繰り返し描く。生きることと自分の能力を使って表現する事と働く(=社会へ働きかける)こと、これらが全部繋がっているのって、素晴らしいことであり、羨ましい限りだ。

一番の魅力は “明るい”こと!見るからに柔らかなまなざしで、相手の言葉を全て聞き、自分の言葉できちんと返す。相手だけの問題にも社会の問題にも、自分の気にしている小さなことも、「聡明な透明感」とでもいうようなものを使って、信頼を保ちながら関係していく。これこそ『生きる』そのものだ。もちろん「映画」での話。しかし、主演・脚本で18年間に3本の連作と、6年で2本という監督・脚本・製作・音楽・主演(!)。つき詰めてナーバスになるのではく、“突き抜けて明るくなる”。これこそ、私の目標だ。

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