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こんな時だからこそ今、強い視線のヴィヴィアン・リー

今世界中が、見えないものと戦っている。何もかもが想定外で、未知という名の恐怖の連続。こんな時に誰を書こうか、書くべきか。誰もが癒される女神みたいな女優とはいったい・・・と思案していた。

否が応でも新型ウィルスの情報は日々更新されるが、それがどこまで正しいのかさえ、わからない。全ての価値が揺らいでいる。

そんなある朝ふと、私が今までで一番数多く観てきたであろう、ある映画のヒロインを思い出した。『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラだ。初めて観たのは小5の時、テレビ「水曜ロードショー」(世界初!のTV放映)で。その日だけは、夜9時からのテレビが許された。前編が終わり、衝撃の爆破シーンから「生き抜いてみせます」と神に誓うシーンまで、只々圧倒させられ、翌水曜日の後編放映までずっと、スカーレットの存在は炎のごとく、私の心の中で強く燃えながら生きていた。あれから40回は観ているだろうか。映画館で、DVDで。時にはメラニーの心優しさに、時にはレットの奥深さに惹かれながらも、11歳で彼女から受けた強烈な意志の強さは、その後の私の人生を変えたと言っても過言ではない。扮するは、大抜擢のヴィヴィアン・リー。スカーレット・オハラ本人ではないものの、あの眼以外に誰がいよう。「スカーレットは私が勝ち取る」と脚本を読んだ彼女自ら名乗りを上げ、オーディションをものにする。見事アカデミー賞®主演女優賞受賞。(作品としては、全9部門で受賞)。英国で主に舞台女優だった彼女は、その後双極性障害に悩まされながらも12年後、映画『欲望という名の電車』で二度目のアカデミー賞®主演女優賞を獲得。「私は映画スターではなく女優です。女優とは、人生全てを費やすに値する仕事であり、いつだって素晴らしく重要な役割なのです。」と語る。揺らぐことは多々あれど、いつだって立ちあがることを忘れてはならないのだ。

世の中で大切な事はひとつではない。けれど、それ程多くもないと私は思う。「自分の意志と希望を持ち続ける事」、それはその中のひとつだと改めて思う。

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