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努力から自然体へ。人生を意味のあるものにする為に“シャーリー・マクレーン”の声

毎週2本、映画をDVDで観る事を楽しみにしている。新作でもなく、周囲で話題になっている作品でもなく、自分が今普通に生活している中で、ふと興味を持ったものを選び何度も観る。ある女優に魅了された後はこのコラムの為に選ぶこともある。そしてコラムは、日常の感性の中で気になっている事と同目線上に存在するよう気をつけているつもりだ。

そんな中で最近お気に入りの2本、それは『八十日間世界一周』(1956)と『あなたの旅立ち、綴ります』(2017)。その両方に出演しているのが、今回の女優シャーリー・マクレーン。なんと60年以上にわたって活躍している大女優だ。80年代すでに世間を知る大人だった私は、シャーリー・マクレーンというと、スピリチュアルな活動(本人著『アウト・オン・ア・リム』(1986)をはじめとする精神体験の執筆や講演)で必要のない話題を作ってしまった女優という騒ぎも知っているのだが、どうやらそれは、世に対して早すぎた行動へのレッテルだっただけだ。著書の文中によく出てくる“大いなる自己の声”なんて言葉は、使ったこともひらめいたことも私は無いけれど、今回初めて読んだ著書の数々は、自然に身体に入ってきた。

先の映画2本から共に溢れ出る生きる喜びは、観客自身が我の心の声を聴いて、真に信じる仲間と挑戦を恐れずに生きていこう、と同様に締め括られている。デビュー作『ハリーの災難』(1955)では、自分以外のセリフも全て暗記し、初日に臨んだという努力家の少女だった彼女。その後、著書のどこかで「将来自分が演じるべき役はすでに決まっている」と書いている。つまり、長く第一線で活躍し、また精神世界を体験し、自然体で成長していく中で公私拘らずに感じて得た全ての意識が、未来の役まで繋がっている。と考えると“努力から自然体へ”今特に必要な生き方であると私は思う。

最後に81歳でDJになった彼女の映画のセリフから。

「新しい朝です。いい一日を送らずに、本物の一日を送って。自分に正直な一日をおくるのよ。いい一日なんて、みじめなだけ。それが私の意見よ、忘れないで。家事や宿題をするときも、運転や遊びや仕事をするときも、意味のある一日を送って。では音楽をお届けします。意味のある時間になりますように」。

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