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おっさんたち

思えば
おっさんずラブ単発ドラマにはまり、祝連ドラ化!で周りに絶対オススメドラマ、として吹聴していた当時が懐かしい。
時が経ち、このドラマも俳優陣も、あれよあれよという間に社会現象となって映画化、続編と勢いが増すばかり。
ということで、おさらいしてみました。

そもそも田中圭のファンだったもので、数少ない主演にこちらも気合が入っておりました。
そして始まったおっさんたちのピュアな愛。
こわもて部長鋼太郎の、乙女なはるたん愛に爆笑し、時に涙し、男2人から告られてうろたえ悶えるはるたん田中圭の、圧倒的な演技力に感動すらしていました。
とくに、後輩牧と部長がはるたんを取り合いキャットファイトを繰り広げる回、部長の妻蝶子寧々と3人が鉢合わせしそうになる回は、それぞれの掛け合いに腹よじれるほど笑いました。

ところが。

4話目あたりからドラマは様相を変える。
牧くんをバックハグしたのち、事態は2人の切ない恋愛模様へと急激に展開する。
どうした!はるたん!!
男同志だとかBLだとか嫌悪感なのか偏見なのか、いや違う。
私にも分からない感情の波が押し寄せる。
SNSや、なんなら制作サイドも、出演者でさえこの2人の怒涛の展開に涙し、最後のハッピーエンドに感嘆している。
なぜなのか。
なぜ自分1人だけ置き去り感が強いのか。

実はわかっている。
実はコレ、私が田中圭を、いやはるたんを好きすぎて牧くんに嫉妬しているだけ。
世間にはいるのだ。ピュアと見せかけてやたら恋愛慣れしている女(男)が。
料理ができて生活力が高い女(男)が。
押して引いての恋愛に長けていて、計算ではなく本能で相手をその気にさせていく、無自覚に人から愛される人間が。
私には欠片もないその魅力を持つのであろう牧くんを、女とか男とか関係なく嫉妬してしまっているのだ。

このストーリー、実は細かな偶然によって裏と表を行き交う危うさを持っていた気がしてならないのは私だけか。
突然はるたんの母が家をでて、ルームシェアをすることになるのが、この物語の全ての発端。
はるたんも、ナレーションでそう告げている。
はるたは、はなから牧がラブとして好きだったとゆー話もあるけれど、やはり私的には、始めはただの同僚だったとしか思えない。彼のように男女問わず人との距離が近く、フットワークの軽い、人懐こい人間はいる。
居酒屋で、ついさっきまで幼馴染みのちずに彼女役を頼むくらい、ザ、ノンケのはずが、牧が上司の武川主任に手を握られてるのを見てしまったばかりに、気づかなかった己の感情に気づかせられる。
裏を返せば、見なければ一生気づかなかった感情。そのいろんな偶然が重ならなければ、はるたんは元々タイプだったロリで巨乳の女子かは別として、世間でいう普通の結婚生活を送っていたに違いない。
この、恐ろしいドラマ性。
ドラマなのだから当たり前なはずの見事なドラマ性にすら私は嫉妬をしていた。
私の手の届かないところにはるたんを連れていってしまった、奇跡の出会いや運命に。
男女でもハードルの高い恋はあり、始めから可能性のない恋愛だってある。なにもゲイでありノンケを好きになった牧くんだけが悲劇のヒロイン?ではない。
けれど彼ははるたにそのハードルを易々と超えさせる(はるたがそもそも、無垢でバカで鈍感でまっすぐな性格だったこともあるけれど)それほどに牧が魅力的だったのか、とゆーことが女の私をキリキリさせる。

幼馴染みのちずに牧くんのことが好きなの?
と聞かれたあと、好き、だとは答えずに、まあ、と愛しい人を思うかのように微笑んで、うん、と頷くはるたん。
あのときの私の絶望感。
33にして中2男児の愛すべきアホ要素を持ち合わせていた彼が、私には立ち行かせない大人の領域へ1人で行ってしまった瞬間。
ああ、これを失恋とゆーのだった、と、昨今感じることのない心の痛みをテレビドラマから感じたのです。

要するに、私はずーとはるたんに叶わぬ片思いだったとゆーはなし。

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