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2022京都旅①

結局のところ、毎回毎回京都はリベンジの旅になる。


選択肢が多いのだ。

日本の歴史がつまった神社仏閣はもはやスピリチュアル化している。
京の情緒や風情を噛み締めるよりも、願い事を叶えてくれる場所巡りに翻弄される。

食事時以外だろうが、並びに並ぶ“老舗”の料理屋さん。喫茶店。
京都の街並みと現代のリアルが混在した魅力的なカフェ。
年季の入った和菓子屋さん、鳩居堂やよーじやさえ、この京都然とした店の佇まいにもはや風格すら感じられる。


1日目


降り立った京都駅は何年ぶりだろう。
あまりに久しぶりすぎて、コロナ前より少ないはずの人込みもちょっと焦る。

久しぶりだけれども、いわゆる碁盤の目である京都中心部の街並みは、ほんと方向音痴な私にはありがたいことで。
今ではスマホで現在地を示してくれるけれども、その昔は地図を持ちつつ何度も行ったり来たりをくりかえしておったなぁ。
それはそれで懐かしい思い出。


今回の旅で一番の目的地であった、
「悪縁を切って良縁を結んでくれる」と名高い安井金毘羅宮へと早速向かう。
ホテルから神社までの道のりは、一番オーソドックスなコースで烏丸から四条、祇園へ。
しかし遠かった。
あれあれ?と途中から不安で何度もスマホを確認するけれどもまだ遠い。
ちっとも進まない。

昔はそんなことなかった。
大通りを左右に連なるアーケード街のお店を楽しんで、あっという間に八坂神社に到着して、そこを横切り清水寺へ向かう少し坂道をてくてく歩くとすぐたどり着いたイメージなのに、なんでか今回は果てしない道のりだった。
1人なのと、歩いていくうちに段々とひどくなっていく雨が不安を掻き立てたのかもしれない。
旅の天候は運なわけで、こればかりはコントロールできない。
ただ経験上、雨の予報が一週間前に出ていたとしても、大抵は曇りや晴れに変わったりするのでこれまでそんなに雨にたたられた記憶はなかった。
が、今回に関しては、他の日にちは微妙に雨の確率が変わろうと、私の旅行当日だけ雨天100%が変動することはない。
この天気予報の頑なさが逆に怖くて、なんとなく嫌ーな予感のする旅の幕開けだったりする。で、もちろんその予報はちゃんと当たっているわけで。


恐らくホテルから3、40分歩いてたどり着いたかの場所は、雨ということもあってかそれほど混みあっておらず、あの有名な白いお札がびっしりと貼られた石碑の周囲も人はまばら。
それでも雨の中もろともせず、形式通り碑の穴をくぐって戻る人を横目に、これを1人でやり遂げるのは、やっぱかなりの精神力がいるなぁ・・・と、周囲を気にしてまだまだ煩悩抜けきれない自分がいてしょぼんとする。
までも、くぐらずともお札を貼るだけでも効果があるというではないか。シャイな日本人の性格を分かっておられる神様でよかった…

先にこの境内の奥にある八大力尊社へ。
スキルアップや基礎力の神様といわれているらしいと、ここへ来て初めて知る。
「逆境にたえる力を授けてくれる神様」
これこれこれ。今の私が必要としている力。
早速絵馬も書いてお参りする。

本殿も長々時間をかけてお参りし、お札にびっしり願いを書き、全ての悪縁、自分自身の業も断ち切りたまえと願いつつ石碑にお札を貼る。
最後におみくじを引きお守りを吟味する。
そうそう、これもまた神社の醍醐味。
ちなみにおみくじは“吉”
しかして書いてあることは全肯定であった。
よきよき。

雨は冷たいし、春が訪れつつあったのに肌寒いし、神社は遠いし、穴をくぐる勇気もないし、若干不安な旅の始まりではあったけれども、結果ここに来ることが出来た事実を良い方向へとらえることに。

しかしポジティブもここまでだよ、私。
毎度思う。
お守りや祈祷で全て上手くいくわけなんかないと。
これまでだってそうじゃん。何お願いしたって、その願いの先に連れて行ってくれるのは他でもない、ここにいる私であるのに。いつもそのことを忘れてしまう。誰かが香ばしい未来に連れて行ってくれると思っちゃそりゃ神様も匙を投げるよ、と。
逆境に耐える力。
ならば逆境に立ち向かえる、メンタルを養う方法からまず探さねば。それは神様だって教えちゃくれない。

神様が後押ししてくれるのは、道筋を己の力で見つけたそのあとだ。

あ、写真一つも撮ってなかった。

余談の余談ではあるけれど、
雨の日あるあるで
何の対策もしていないのでマスク上の眼鏡が
恐ろしく曇る。
ずーっと曇る。しつこいくらい曇る。
これまた十分にストレスだったのだけれど
なんでか八大力尊社の小さな社の周囲を
歩くときだけくもらない。
いやコレ本当に。
絵馬を買いに戻ったり
名前を書き忘れて戻ったり
最後にお参りしたりと
何度か周辺をうろうろしたのだけれど
そのたび同じことを思う。
最後は笑ってしまった。
はて、何の効果だったんだろう。
とまぁ、
これくらいの小さな神がかりは許してほしい。

安井金比羅宮


今回、雨なのは分かっていたので、普段より無理の無い行程に決めていた。
バスに乗り四条河原町駅へ。
そこから歩いて錦市場を目指す。
今日はここで飲み食いして近くのホテルへとすぐ引っ込む予定しかなく、久々の1人旅で緊張しているのかあまり食欲も無いため、アーケード街を一往復してすぐに入れそうなモツ煮込みのお店へ。カウンターに座り女性店主に煮込みとビールを注文して漸く落ち着く。

錦市場でビールとモツ

しかし酒好きとしては、結局どんな神様もお酒には敵わないんじゃないかとたわけた事を思う。一気に鬱鬱した気分も晴れ、生ビールも瞬く間に飲み干してしまった。
行き交う人の流れをぼんやりと見ながら、京都に来たのだなぁとここで実感したりもする。


その後も案外短いアーケード街を行ったり来たり。

姿無きうに

店頭の備え付けテーブルとパイプ椅子で、お兄さんがホットワインを用意している間に無くなってしまった小さなうに。五百円なり。中身よりトゲトゲのほうが存在感。
とゆーことで並々注がれたワインのお供が足りなくて、少々やり取りに困難しましたが酢牡蠣もオーダー。こっちも美味かったなー。

美しいロビー

立地の良いホテルだったので助かった…
道に迷わなかったー!
旅においてもうこれが一番ストレスが無い。

とても清潔感のある部屋で一息つき、すぐに最上階のスパへ。
といっても私はお風呂だけの予定。
まだ時刻は午後2時半。
今なら客もおるまいという予感は当たり、ちゃんと設置された受付で丁寧に説明を聞いてから薄暗い女性用廊下を歩き、いざ浴場の扉を開けると先客はまだ数人だった。
お風呂は広々とし、その奥にもう一つガラス張りのドア。一見露天には見えないけれど、ドアを開けた瞬間冷たい風が身体に吹きつけ、ああここは外なのだと実感する。
目隠しでちゃんと覆われたプチ野外にひっそりと安心し、透き通るお湯に全身浸かって疲れを癒す。極楽であるなぁ…としみじみする。

夕方ごはん

近くのDEAN & DELUCAでゲットしたおかずと、錦市場で買い足した京都クラフトビールと酒のおかず、海老天で早々と夕飯を食す。まだ4時である。

本でも読もうかと向田邦子の表紙をめくりつつ、パタンと少しの間眠りについてしまった。
しかし、それから私の目はぎんぎん。
お酒やつまみをもっと買っておくんだったと後悔したけれど我慢我慢。本日だけで散財は馬鹿にならないのだ。
そうだ、と、我が家のお土産用に錦市場で買っていたしじみのスープを開けてお湯を注ぐ。
温まって旨し。
ドラマ「妻は小学生」を観ながら泣きそうになる。

私は大抵ホテルでの寝つきが悪い。
今回もあまりにも早くベッドでダラダラと過ごしたせいか、熟睡というわけにはいかなかった。
毎回残念に思うことの一つ。

1日目終了。


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