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8/21 何かを残すには

私は本好きと公言しても怒られないだろう。

テーマは偏っているが雑誌は月に5~6冊買うし、書籍も2~3冊ペースで読んでいる。仕事柄、日々色々な大衆誌から専門誌まで読むことも多い。だから、平均よりは本や雑誌に触れていると思う。未だに新聞本紙を購読している稀有な30代でもある。

しかしながら、私が読みたいと思うような書籍も雑誌も大型書店ですら置いてないところがあるくらいで、いわんや街の本屋さんには。という訳で、Amazonで購入したりすることが多くなってしまう。

「まちの本屋リノベーションプロジェクト」記事を読んで、街の本屋への愛情や期待というのは私も同様に感じているのでクラウドファンディングを通じて支援したい気持ちに駆られている。50,000円で本棚の一角をお借りして「自分の本屋」が持てるなんて素晴らしいリターンであると思う(5万円出す勇気はいるが、、)。

大きな命題:街の本屋は必要か?

結論から言えば、絶対に必要です。

しかしそれは、世の中的にどうこうとか、教育的側面からどうこうとか、そういった話ではなく、完全に個人的な趣味によるところである。

もはや公的資金(つまり税金)を何に投入するかなんて、日本が抱える問題は多過ぎるし、声の大きい人も多過ぎるため、本屋にお金が回ってくることなんて先ずもって無いだろう。

テクノロジー(つまりAmazon)に勝る何かが必要

何より、ただ”必要だ!”と説き続けていても「だってAmazonあるじゃん」の一言で済まされかねない現代。テクノロジーに勝る何かが必要になってくるだろう。”何か”というのは、努力や愛情といった抽象的なものから、行政や企業によるサポートといった具体的なものまでを指します。

Amazonを使わない理由

現代のようにAmazonという強力なプラットフォームが存在する世の中においては、「Amazonを敢えて使わない理由」というものを探していかない限り、(本を買うという文脈においては)ユーザーの行動は全てAmazonに集約されてしまう。

では”Amazonを使わない理由”とは何だろうか?それは、中岡氏が仰っているように「街の本屋が無くなっては困る」それに尽きるだろう。

お世辞にも、すばらしい選書をしているわけではない。しかし、一度行ったら忘れられないぐらい親しみやすい本屋だ。智之さんのお父さんである邦彦さんに、本屋の昔話をしてもらったら面白くなって、保育園へ迎えに行くのを忘れてしまったことが何度もある。関係が深まっていくなかで、こういう本屋がなくなっては困ると思うようになった。もちろん以前から、少しはそう思ってはいたけど、街の本屋が消えていくことに誰も抗することはできない、避けられないことであると思って諦めていた感があった。石堂書店に通っているうち、自分にできることはなんだろうかと思い始めたのだった。

Globalizationの対比としてのLocalizationと言われますが、街の本屋はローカル経済圏における1人の小商いプレイヤーであります。

以前自分が書いた記事で、青森県八戸市は本の街として自市をリブランディングしていることを紹介しました。

何を残し、何を切り捨てていくのか?

何かにお金を払うというのは、何かにお金を払わないということであり、つまりは何を残して、何かは切り捨てるという判断をしている訳です。それが意識的であれ、無意識的であれ。

私が住む街にも街の本屋があります。都心からそんなに遠くない地域であるにも関わらず、駅前周辺でただの1軒だけです。後は駅ナカにそこそこ大きなチェーン書店があるだけで。

私も試しに中岡氏が実践されていることを実践してみたい。

試しにやってみたのは、インターネット書店「Amazon」で本を買う代わりに、石堂書店で注文することだった。

なんだ(十分まったり仕事できているから、これ以上儲けなくていいんだよ)色々面倒だなと本屋さん側に思われないか少々ビビッてしまうのだが。そこは、コミュニケーションを取ってみる価値があるだろう。

何かを意識的に残そうとすれば、余分な費用を支払わなくてはならない。お城などの建造物だったり、自然遺産であったり、この世に1つしか存在しないモノを後世に残すことに莫大なお金を投下することには多くの人の賛同を得られやすいが、ごくごくローカルな経済圏にある本屋を残すか残さないかは、そのローカルな経済圏の人たちが決めることになる。

この時代、「本屋なんかいらねーよ」と一言言われてしまえば全ては終わってしまうのだが、それに抗うのは、完全に個人的な動機以外の理由は何もないだろう。あとは、その個人的な動機にどれだけの人が賛同を示してくれるかどうか、それだけなのである。

その意味で私は、「まちの本屋リノベーションプロジェクト」の行く末に興味があるし支援したい。うちの近くの本屋でもやって欲しい。

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