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Code for Japanに倣う、パーパスによる人の巻き込み方

2021年9月6日
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第9回
【講師】一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事 関 治之(せき・はるゆき)さん

講師プロフィール

関治之(せき・はるゆき) 1975年生まれ。「テクノロジーで、地域をより住みやすく」をテーマに、さまざまなコミュニティーで活動する。東日本大震災で災害情報の発信にボランティアとして関わったことをきっかけに、2013年、Code for Japanを設立。神戸市チーフ・イノベーション・オフィサー、東京都デジタルトランスフォーメーションフェローにも就き、行政のデジタル関連政策のアドバイザーとしても活躍している。


一般社団法人Code for Japan概要

関さんが代表理事を務められているCode for Japanは、「Civic Tech」と呼ばれる活動をされています。「Civic Tech」とは、行政と連携しながらテクノロジーを活用して社会の課題解決に取り組んでいく活動で、世界中の地域で同様の取り組みが行われているそうです。日本でも80以上の組織が立ち上がっているそうで、もはや一大ムーブメントと言えます。

Code for Japan は、私たちひとりひとりが主体的に地域課題を捉え、手を動かしながら解決していくことができる様々な仕掛けを生み出し、オープンに公開しています。日本全国に地域版 Code forがあり、また世界各地にも各国版のCode for があります。そんな仲間たちと連携しながら、ワクワクする未来を創るための環境を育んできました。市民・企業・自治体(行政)の三者が、それぞれの立場を超えて、様々な人たちと「ともに考え、ともにつくる」社会を実現するために多種多様なサービスやイベントを展開しています。画像1


設立経緯:伽藍モデルとバザールモデル

関さんは当時の行政・自治体のシステム開発が「伽藍モデル(クローズド)」になっており、これを「バザールモデル(オープン)」に変えられないか、という問題意識からCode for Japanの活動を始められたそうです。

伽藍モデルとバザールモデルについては以下の記事でまとめられています。

行政のシステムは非常にわかりにくいですが、セキュリティの観点でどうしようもないのかな?とか思ったり、、大抵の人は諦めていたと思います。そこに問題意識を持ち、行動を始められた点に感銘を受けました。


活動例①  東京都のコロナウイルス最新感染動向

Code for Japanの取り組みとして共有いただいた中で、印象的なものをピックします。

まずは東京都のコロナの最新感染動向(ダッシュボード)です。
コロナの最新情報を見れるサイトで、デザインが良い(行政っぽくない)、グラフや数字がトップページで見れるGit hubで公開しているという特徴があります。

Git hubでは、3週間の間に数百件の改善協力や提案があったそうです!さらに北海道や鹿児島がそのコードを活用して同様のサイトを制作したようです。まさに関さんのオープンソース化の理念が実現した事例かと思います。

今後行政のサイトもこのような素晴らしいデザインが増えれば市民としても嬉しいですね。


活動事例② COCOAのオープンプロセス化

リリース当初不備だらけで話題になった新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」。実はその後Code for Japanにより、Git hub公開(オープンプロセス化)されていたらしく、現在はバグがほとんど修正されているそうです!!ひさしぶりにダウンロードしてみないと、、

多額な税金が使われているので、そのまま死なせるのではなくこのように使えるアプリに改善されるのはうれしいです。今後行政としてアジャイルベースで開発するアプリがあったときに良い参考事例になるのではないでしょうか。


活動事例③ Decidim

Decidimは「我々で決める」を意味するカタルーニャ語にちなんで、2016年にバルセロナで誕生したオープンソースの参加型民主主義プラットフォームです。市民と行政のやりとりをオンライン上で行えるようになっており、透明性のある議論が可能になります。行政側はオンラインに書かれた希望をスルーすることはできず、何らかの対応が迫られるという厳しい面も(逆に市民の生の声が聞けるメリットもありますが、、)。現在は世界各地に同様の取り組みが広がっているようです。

Decidimの日本語化はCode for Japanが中心となって取り組まれたそうで、日本では加古川市や横浜市で導入が進んでいるようです。

Decidimも抽象的に捉えれば、クローズのシステムをオープン化したという事例になると思います。
個人的にはこのクローズド→オープンの概念は企業内でも応用できるのではないかと思いました。例えば従業員の意見を聴きながら経営者が意思決定していく方式や、ユーザーの意見をオープンに聞きながらプロダクト・サービスを改善していく方式等。

クローズド→オープンはこれから大きなテーマになりそうですね。


まとめ・所感

まとめとしてCode for Japanの魅力は何なのか?考えてみました。

おそらく参加者は、関さんの「行政を自分たちの力でより良いものに変えていきたいという理念(=パーパス)」に共感しているからではないかと思います。

さらに活動内容がどれもワクワクするものであるということポイントだと思います(HP見ても参加してみたいプロジェクトばかりです)。

関さんは「人は正しいことをしたいのではなく、楽しいことをしたい」とおっしゃられていました。行政はなんとなく固くて難解なイメージがありますが、ゲーム感覚でみんなでわいわいしながら問題を解決するスタンスが良いのではないかと思いました。

パーパスへの共感×ワクワクする体験の提供、他にも応用できそうです。クローズド→オープンといい、大変示唆に富んだ講演が聞けました。。







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