仕事は、生きる事が実感できるのか?

先月末、紆余曲折ありながらも無事に営業職に就職することが出来た。『あぁ、私もついに社会人になったのか』としみじみ思っていると、会社に誘ってくれた友人がお祝いの言葉と共にイベント代金の三千円返してほしいと言われた。

「それ、申し込んだのも支払ったの私です、寧ろ返してください」

新入生ジョークかと思ったら本気で貸し付けていたとカン違いしていたらしい。入社を取りやめようかと思っていると、今度何かで代償するという事になった。こうして、私は地元の某営業所に入社する事となった。

仕事内容は、基本的に自分で決められるし、休みも自由。退社時間をすぎると事前申請していないと残業はダメ。今時珍しいクリーンホワイトである。良い会社だなと思うだろうが、何故か疲れて帰る事が多い。

1ヶ月先輩の友人に聞くと、「会社に迷惑かけたらダメよ。こんなに幸せでやりがいのある会社に何を文句言っているの!」と返された。いや確かにクリーンで幸せであるが、自分の過ちや責任を自分で取れずに周りに迷惑をかけると思うと重荷に思えてくる。

さらに営業となると、売り込みもある。親戚友人、会社の人たちに迷惑を掛けないように、なりふり構わず売り込まなければならない。そういう仕事に友人は使いたくないと思っていたけど、食えるためには縁も使わなければならない。

大事にしていたものを噛んで凌ぐなんて…と思っていたけど、やる為には感情をからっぽにして売らなければならない。途中で少しでも話す度に心のどこかで、針で刺したようにチクリと痛む。

やりたくないわけじゃないが、世界には嫌われ役が必要なのだと思ってやっている気がしてならない。しかし、必要とされているから会社がある訳であって、必要ないなら自然と消えている。だから、必要とされている間は泥でも塩でも何でも被りながら生きるしかないのだ。これが仕事をして生きている実感なんだなと勝手に思い、今日もお客用の資料を纏めている。

そうそう、仕事に就いたおかげか夜になれば自然と眠れるし、朝の目覚めがいい。ただ、起きるたびに

「私、●●の●●と申します!今日も元気によろしくお願いします!」

と言いながら飛び起きてるので、誘った友人が洗脳してしまったかもしれない心配と憐みの目で毎日見つめてくる。いや、多分大丈夫だと思う…。

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