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27歳女性、eスポーツを見つめ直す

少し前の事だ、仕事を探していた私はeスポーツに目を付けた。理由としては、三度の飯並にゲームが好きなのもあるが、誰かと交流したり大会に身に行ったりすることも好きだったからである。そこでeスポーツ関連の仕事を探しつつ、eスポーツのライターの勉強をすることにしたのである。

eスポーツの世界に足を入れる

当時は、『ゲーム好きな女でもやれるんだぞ!』と意気込んでネットで女性プロプレイヤーの記事を探しては、その記事が本当がどうかを出来る限り洗い出す作業をしていた。

ネットの記事が信用できないという訳じゃないが、ネットの情報だけで書いた論文がシュレッターにかけられて単位を落とす同級生たちを見つめ続けたからだろう。その結果、ネットの全てを疑うことを学んだ。

その悪癖がついたので、アライグマのように記事を見つけては洗い出し作業を繰り返した。今思えばインタビュー記事の洗い出し何て出来る訳もないのに、目を血走らせて探していたは中々に笑えるものである。

それと同時に仕事探しも難航した。応募しては、落ちて。応募しては落ちてを繰り返していて精神が疲弊していたのもあるだろう。何もかもが嫌になり、自然と足が遠のいてしまったのである。今思えば「困っている事を相談すれば良かったのに」と思うばかりだ。

eスポーツ関連で働く人として求められる人材

言っておくが、これは私の体験談である。もしかすると、今では様々な種類の仕事があるので一概には言えない。あくまで、体験談だ。忘れないでほしい。体験談なのだ。

eスポーツ関連の仕事を大手求人サイトで探すと、ITエンジニアが多かった。その他だと、ディレクターやアシスタントなどがあるが、数年の営業経験を積んできた人間を求めてきている。

未経験でもいい!と歌っているのでバイトに応募したが、やはり落ちる。ビジネス英語が出来ればよかったが、生憎英語は聞くので精一杯。CCNAを持っていなくても、パソコンや撮影機材の設置やは大学で嫌という程やったと言っても、家が都市部から遠いととの事で断られた。

都市部に近い、英語も堪能、営業経験2年以上…。どれか一つあればよかったのだが、私には何もなかった。本当に何もないと、バイトも何もできないのである。そこで一層ライター方面に力を入れればよかったのだろうが、平行して受けていた一般企業50社も落ちたので心がポッキリと折れた。

将来を考えろと言われ始める

私の家は父と2人暮らしで、家事は私が全般やっていた。出張の送り迎えや、掃除や洗濯、足りないものの買い出しと料理、仕事を探しつつ主婦の様な事をしていた。何もかも出来る父は何も言わず、家事を褒めてくれていた。

だが、そんなぬるい湯に浸かっていられまいと仕事を探していた。落ちて落ちて落ちまくって…仕事なんて見つかるのだろうかと思っていると某企業の人事が「仕事の前に結婚したら?」と私にアドバイスした。

このご時世を恐れぬ発言に驚いたが、その勢いで婚活パーティに出席した。結果、高校からの友人に彼氏が出来た(意味不明)。ちなみに私は、美味しいローストビーフを腹いっぱい頂いただけで終わった。もう目的も分からず、完全に空回りしている。

『何故、私はこんなにも生き急いでいるのか?』

ちょっと家に居ないと10件も電話をかけてくる心配性な父も何も言っていないし、誰から何か言われているわけでもない。自分なりに、ゆっくりと探せばいいじゃないか。

だが、社会から将来を考えろと無言の圧力が突き動かしているのだ

仕事もなく、恋人もなく、ゲームが好きなだけの女。そんな人間に価値はあるのか?働かずに細いスネをかじる飯を食い続ける人間に未来などあるのか?答えは、NOだ。

「仕事だけでも見つかれば…」と思えば思うほど、自分のダメな部分が浮き彫りになった。またライターとして書けば書くほど、情報の本質や自分の思いが分からなくなっていく。

真実が見つからない、未来が見えない、不器用すぎて何も出来ない。

気が付けば、母の仏壇に頭を下げ続けていた。苦労して産んで、ここまで育ててくれたのに何も返すことが出来ない。小さな頃に出たいと願って小さなゲーム大会に申し込みをしてくれたのに、年齢と女というだけで参加出来なかったあの悔しさを誰かに伝えることも出来ない。

私は、eスポーツとは別々に生きた方が良いかもしれない

そこから私の空回っていた足は、eスポーツから離れて行った。

私とeスポーツの転機

友人の紹介で営業の仕事に見事就職が決まり、今は嫌々ながらもバカ高い商品を売り続ける事になった。頬にたっぷりの白粉を叩き、口紅をぶ厚く塗って、お客様に突き返されながらも上から数字をもっと出せと言われ続ける日々。そんな日常に疲弊していると、とある記事を見つけた。

文学に魅了されながらそれを捨てた高校生を生かしたのはeスポーツでした

私よりも『明確に悩んでいた

それが最初の感想だった。夢と現実の大きさの違いに悩み、挫折した経験が細かく書かれている。かつて同人小説を書いていたころや出版社(自費出版)から話しが来た時の自分を見ているようで胸が締め付けられる。だが、彼は転んだままじゃなかった。別の道で立ち上がり、新しい道を目指している。

何故、私は彼のようになれなかったのだろう。

自分の情けなさに読んでいて涙が溢れそうになった。熱狂的に我武者羅に動けたら、私はあの世界で生きていけたのだろうか。いや、そうじゃない。私には私の、彼には彼の道を歩いただけ。たった、それだけなのだ。何もかも諦めかけていた時、ふと頭の上にライトが灯った。

そうだ、形を変えよう

思いついた時、私は一心不乱にノートに纏めていた。

見つめなおしてみた『今』の結論

自らがライターとして発信するのではなく、応援や支援の絵や作品の制作、eスポーツ関連の企画に参加やボランティア参加など深堀せずに幅広いサポーター的な立ち位置に切り替える事にした。

これならば自分のペースで応援も出来るし、時には休むことが出来る。しかしそうなると発信度や貢献度は、格段に低くなるだろう。だが、全くの無意味ではない。小さくてもやっていくことが大事なのだ。

eスポーツに関わる誰かの心に残るようなことが出来れば、それでいい

蒔いた小さな種が、芽吹くかどうか分からない。時には腐り、時には迷惑をかける事もあるだろう。しかし、誰かの心に残る物が出来上がる日がくると信じて自分なりに様々な行動するのだ。

もしかすると、数年後には違う案や素晴らしいアイディアが思いついて、結論が変わるかもしれない。だが『今の私』に出来る事は、華やかな舞台を支えることだ。1人のファンとして、1人の観客として、小さくても支えることこそが、今の私に出来る事だと思っている。

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