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ことば発掘|あなたの夢は、何ですか?②

「カレーライター」さんに会ったこと、ありますか?
私あるんですよ。3年くらい前の夏、鎌倉・極楽寺のアナン邸で開かれた「スパイス教室」で。

じわじわと蒸す鎌倉の夏。緑しげる庭と、古民家の縁側。
その日のテーマはタンドール料理でした。庭に据えられたタンドール窯を眺めながら、その場に居合わせた方々とおしゃべりをしていたんです。
「失礼ですけれど、普段は何をなさっているんですか」質問にその方は「カレーライターです」と笑って、名刺を差し出しました。
「カレーって…あの?」「あのカレーです!」
その方こそ、カレーを愛しすぎてカレーに愛された男、飯塚敦さんだったのです!

そのときに飯塚さん…はぴぃさんがおはなしくださったことが忘れられません。

「カレーが好きで好きでずっと食べ歩いていたから、あるときわかりやすく「カレーライターです」って名乗るようになった。名刺も作って、名乗り続けたら、だんだんそういう仕事をいただくようになったんですよ。」

「好き」を続けて、それに名前がついて、名乗るようになって、そうしてお仕事…社会につながっていく。当時の私には魔法のようなお話でした。

今こうやってnoteでおはなししていて、はぴぃさんのお言葉が「将来の夢」や「仕事」の本質を包みこんでいると改めて感じます。はぴぃさんのお話をかわきりに、今回の「将来の夢は、何ですか?」を始めましょう。今回のテーマは「夢をことばにする方法」です。

はぴぃさんとカレーのお話がもっと知りたいと思われた方は、ぜひこの記事▼も読んでみてくださいね。

夢をことばにする方法

1、行動と「自分」の関係

はぴぃさんのおはなしの、この部分に注目してみましょう。

「ずっと食べ歩いていた」

ippinの記事によると、貿易会社の営業マンとして全国を飛び回っているころから、出張先・全国のカレーを食べ歩いていたとのこと。
「食べ歩く」という、ともすれば「シュミですよ」なんて自分でもあなどってしまうかもしれない行動。それが自分の大きな一部になっていることに、はぴぃさんは気づいていた。そうして、「職業」はいろいろに経験しながらも、どの時代のどの行動も、現在の自分に役立っていない経験は一つもない、とおっしゃっていました。

ここからわかるのは、「行動が自分を作っている」ということです。
自分が見聞きし、体験したことが「自分」を作る。と同時に、「自分」が湧き出て、体験を選び、見聞きすることを吸収している。この行動と自分の往還が、自分の人生をじわじわと組み上げてきたのです。

もっと言えば、無自覚だったり、世間の評価からすると取るに足らないように(自分からは)見える行動にこそ、自分が出てくる。
その行動の積み重ねから、「自分の意志」が浮き上がってくることが非常に多いのです。


2、行動の見える化|「自分史」を書こう

はぴぃさんの行動は、「カレーを食べ歩く」という一貫性を持っていました。
それはたぶんすごく個性的なことで、多くのひとは一貫性を持った行動をしていないです。もしかしたらはぴぃさんもあとからご自身の行動を糸通ししたのかもしれないですね?

「糸通し」作業、つまり自分の意志を見つけるには、まずはパーツを揃える必要があります。そこで一つ提案したいのが、「自分史」を書くことです!
今から説明を書いていきますね。今すでにめちゃめちゃ悩んでるよーというひとは、一緒にはじめの3ステップくらいをやってみませんか?

◽️「自分史を書く」が効くのはこんなひと!
・自分の将来やりたいことがわからない
・周りに比べると「好きなこと」がないなあと思う
・自分のやれること、自分って何者か、が表しづらく感じる

◽️こうやって書くよ!自分を見つける「自分史」
1、紙とペンを準備します。
 どこからどこまで書く、と決めずに、全体を見渡して書けるモノがいいかも。

2、最近あったことを、紙の上のほうに書きます。
 「今日の朝ごはんはミスドだった」「昨日本を一冊読み始めた」「新しい服を買った」などの日常から、「先月の部活ミーティングで練習メニューの提案をした」「AとBの対立が起こったときにBの意見を論破した」のような存在感のある出来事まで、なんでも。まずは一歩、書いてみる。

3、そのまたひとつむかしの出来事を、ひとつ下に書きます。
 これも、どんな出来事でも。何月何日の〜って考えない方が進むかもしれないんですが、スケジュール帳を見ながら思い出していった方が進みやすいタイプの人もいるみたいですよ。

4、さらにひとつむかし、さらに昔の…と、さかのぼりながら出来事を書く。
 目を閉じ、浮かんできたむかしの出来事を書き留めます。自分の無意識が覚えてくれている出来事を信じて、とっても感覚的な自分史を書く。もし感覚的すぎるのが不安だったら、書き留めるときに鉛筆にしたり、行間をいっぱいあけておいて、今後の書きたしに備えてみましょう。
 <手順4までで終わることにするひとは、手順6へ▼>

5、▲上の4で書いた出来事をじっくり思い出し、具体化する。
 「その出来事の中で自分は何をしているか」「自分はどのようにその行動をしたのか」「どんな気持ち・感想をもつか」を自分で自分に質問してみる。自分にフォーカスを当てて、自分にとってどういう出来事だったかを考え、書きくわえる。

6、「自分史」を見せてもいい相手とおしゃべりする時間をもつ。
 お友だち、家族、先生や先輩、ふらっとはなしてみたいと思いついた人。自分が「この人と自分史について話したい」と思った人とお約束をして、自分史を見せながら話をしてみます。

7、おしゃべり後に、また自分を見つめる。

◽️自分史を書くときに大切なこと 2つ
1、自分が自然に思い出すことを大切にする
 ちょっと前に書いた通り、無意識の行動の中にも自分があります。「やらねば」を手放して、自分の体と過去の中に自分がある。それだけを感じます。

2、相手に話す<手順6>に重きを置く
 「恥ずかしいよ〜!」という声が聞こえてきそう!そうなんです、壁はあるんです。けれど、無意識の自我だからこそ、相手の目線からしか見えてこない糸がある。『自分の〈ことば〉をつくる』で細川英雄先生も「最も大切なこと」として挙げています。話せると感じる相手と、<あなた自身>をテーマにゆっくり話してみてくださいね。

3、自分史のつづきを

こうして自分史を書く時間を重ねていくと、自分が何者なのか、がゆっくり見えてきます。自分の行動をゆるく貫いていく糸。自分自身の意志や、心のありかが姿を表すのです。

はじめは自分の話を、ダラダラした曖昧なものに感じるかもしれません。いきなり私の話をしてしまうけれど、私はそうでした。高校の先生をやめると決めたけれど、その後の自分がわからなくて、こういう感じ…という話をさせてもらって。そのたびに、「○○ってこと?」「□□という他の例もあるよね」なんてことばをかけてくれる相手の言葉を持ち帰って、「○○ってどういうことだろう、自分はそれなのかな…」「□□というアイディアをもらったけど、□□と私のアイディアには違いがあるようだ、それは…」とまた一歩自分に潜る。その繰り返しの末に、今があると思います。

たくさんの言葉の行き来があって、そのさきに、自分を表すことばがあります。
「将来の夢」は遠いどこかのなにかではなく、あなたの道につづく一歩先の「未来の自分の行動」として立ち現れてくる。そこまでの探究を、自分史は支えてくれるはずです。
最後は宣伝みたいで恐縮なのですが、ことば塾舎anoneは、自分の中から自分をあらわすことばを見つける「ことば発掘」をお手伝いするために作った塾なんです。例えば、手順6で、身近な誰にも話せないよおと思って立ち止まりそうになったら、けっこういい聞き手になれるかもしれない…

2019年の夏、尾道

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                  ことば塾舎anone||サイトーアキコ

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