『好き好き 大好き!』 ④採点競技


宙返りの感覚をよく“どんな感じか”聞かれますが、
一瞬なので前転とあまり変わりません😅

今回取り上げるのは、初めての「コロナ禍以前より好きだったもの」です。
採点競技…改めて簡単に説明すると、採点競技は「演技に対しての得点を競う競技」を指します。アーティスティックスイミングやトランポリン、バトントワリングやサーフィンやダブルダッチ。新しいところではブレイキンなども採点競技に分類できます。(スキーやスケートは特殊だなぁと感じるのは、タイムを競う種目とエアリアルやフイギュアスケートのような採点競技が“同居”する競技だからです。)

採点競技の多くが個人種目であることも特徴かもしれません。アーティスティックスイミングやダブルダッチのような団体競技もなくはないのですが、圧倒的に個人競技が多いと思います。基本的には「己との闘い」と思いますが、広い意味では「人間との闘い」ともいえます。それは、対戦相手とも審判とも「見えない攻防」があるからです。

採点競技を避ける方もいるかと思います。第三者に「公平なジャッジを委ねること」は、とてもデリケートでときに難しいからです。近年では遂にAIを採用した採点を検討する競技も出てきました。少なくとも競技者離れには効果があるのではと期待はしています。ただ、採点競技は“心から湧き出るような想いを表現すること”を「技術として」採点していただき「選手の持ち味として」競うことが出来る面白さがあると思います。果たしてAIにそんなエレメンツ(構成要素)まで判定できるのか…。疑問な点も私は感じます。

「いい演技とはどんな演技か?」単にミスがないとか、大きな技を失敗なく正確に実施できる…もちろん素晴らしいとは思うのですが、そんなサイボーグのような演技はつまらないような気がします。私は究極“また、あの演技が観たい!”とか“あの演技が忘れられない!”と言われる演技が「最上級のジャッジ」だと思います。なぜなら“人間が行なうものだからこそ再現こそが最も困難だから”です。競技者はもちろん「より高いレベルでの再現性」や何度繰り返しても「質が落ちない演技の習得」を目指します。きっとAI判定が導入されても、採点競技の“目指すもの”は変わらないと思います。競技者(ときにはチーム)の個性が十分加味される「ジャッジの未来」を願います。

私が採点競技が好きな理由は、人生でたったひとつ
“短期間でもしっかり教わって全力で取り組んだスポーツだったから”です。
中学校の3年間だけ器械体操をしていました。子どもの頃から「小さくて身体が柔軟だった」ので、マット運動は得意で好きでした。小学生くらいのときから、たまにテレビで体操競技の中継があると観てはいたので、中学校の入学式で体育館の後ろにあった“ホンモノの平均台との対面”に感激しました。そして何と私は体操部に入部してしまったのです。まさかの「運動部入部」は母親を驚かせました。残念ながら一年生の秋に「大けが→入院」をして同級生から完全に遅れてしまい万年補欠…。3年間ほぼマネージャー状態でした。それでも私は体操を辞めることはまったく考えませんでした。基礎練習も大好きだったし、体操競技というものが感覚的に“自分に向いている…!”と信じていたからです。

体操競技の醍醐味は「出来なかったことが出来るようになること」だったり、難しい技を分解してコツコツ練習して積み上げた頂上に完成品があるようなところです。また、私が体操競技に取り組んでいたときは「減点法式」だったので“ミスなく演技を磨き抜くこと”がわかりやすくて自分に向いていると思っていました。(2006年から現在採用の加点方式に変更。難易度に対しての加点を競う競技に変わっています。)それに早生まれで集団生活について行くことがかなり困難な時期もあったため、団体競技が苦手だったこともありました。(今でも“観るのは好き”ですが、するのは苦手です。)

体操競技で学んだことは本当に数え切れません。何といっても「最終的には自己に向き合うこと」な気がします。個人競技は自分がミスなく演技をやりきることを最優先にすればよかったので、いつも考えるのは自分のこと。
よくても悪くても「責任は全部自分」は精神的にラクでした。私にとって「自分が大変でもがんばれる場所」を発見できたことが、今でも大切な転機だったと思います。また“出来た!”という喜びを自分が真っ先に味わえる分、自分が真っ先に納得しては「それ以上にはなれない」といったストイックさも楽しいと思えます。今でも「完成に喜びつつもそこで終わりにしないこと」を行ったり来たりするようなものは“おもしろいなぁ!”と思うところが私にはあります。

補欠時代にコツコツ積み重ねた基礎練習は、趣味のスポーツや仕事にも活きています。エアロビクスではインストラクターの方にほぼ必ず“何か(競技)やってましたか?”と必ず聞かれるし、仕事中の立ち姿を“姿勢がキレイですね!”と褒めていただくことがよくあります。ボウリングも体幹が使えているらしいので、疲れにくいフォームで投げることが出来てると褒められます。(ただし、スコアは別!)体操競技は「生涯スポーツ」という訳にはいかないのが残念だと思っていましたが、私にはじつに大きな財産になっていると今になってしょっちゅう感じています。

ひとつだけ残念なのは、高校卒業後…母校にチアリーディング部が出来たこと。あと3年間早ければ、バック転が出来るうちにチアを始められてたら…たぶん人生がかなり違っていただろうなぁ…!社会人のチームは経験者でないと入れないことが多く、だいぶ前に断念しました。死ぬまでに「おばあちゃんチームに入れていただいて踊ること」が今の夢のひとつ。
幸か不幸か…まだおばあちゃんには早いので、踊れる体力とスタイル維持に努めようと思う日々です。


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