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「校正ゲンバ回顧録⑨」――問:新聞表記では―靴は「履く」。ズボンは「穿(は)く」です。では、靴下はどっち?

【2022年10月25日記録】



正解は、「穿(は)く」でした。皆さんは、どうでしたか?

共同通信社記者ハンドブックでは常用漢字外のため、同誌の表記上では「はく」となっていますが、解釈上は「穿く」となっています。
(共同通信社記者ハンドブック第14版第2刷p.373)

毎日新聞のアンケートでは、「履く」7割、「穿く」が2割とのことでした。世の中のイメージでは「靴下を履く」ほうが優勢なのかもです。
そのあたりの詳しい話は【毎日ことば 2021年10月15日 靴下を「はく」は「履く」が多数派 https://mainichi-kotoba.jp/enq-386】をご覧ください。

内容をざっくり申し上げておくと、「新聞では靴下をは(穿)く」で「国語辞典の見解は分かれる」です。「広辞苑」「大辞林」は「履く」というのは混乱を招いている原因のひとつといえそうです。

円満字二郎さんの「漢字の使い分けときあかし辞典」(研究社)によると、

「履」には「足をある場所に置く」という意味があり、そこから「靴やつっかけなどを足に装着する」という意味が生まれました。一方、「中国語では、袖に手を通したり、ズボンや袴(はかま)などに下半身を通したり、靴の中に足を入れたりすることを、“穴の中に体を入れる”こと」だと捉えており、そこから穴を開けるという意味の「穿」を使って「(衣服を)穿く」と表現するようになったようです。

とあります。

いずれにしても、媒体の性質により、揺れが出やすい言葉といえますので、意識的に覚えておくとすっきりするかもしれませんね。
私としましては、署名記事以外の一般記事では「靴下をはく」を推奨したいと思います。

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