新感染 ファイナル・ジュディ・オング・エクスプレス 〜魅せられて〜

「新感染 ファイナル・エクスプレス」っていう邦題はかなり不評らしいけど、個人的にはそこまでは嫌いじゃない。なんか午後ローで「9月の木曜はゾンビ!」とか言ってやってそうな感じで。B級感がすごい。だから不評なんだろうけど。

今回の鑑賞の目的は2つ。「韓国のゾンビ映画、観たい!」と、もう1つは「ScreenX」なる上映形態を体験すること。なにやら韓国の会社が開発したシステムで、簡単に言うとスクリーンが3つあるらしい。正面のスクリーンと、左右の壁。いまだに3Dにそんな興味湧かないし、4DXはよっぽどのことがない限りは観に行くことなさそうだけど、これはちょっと観てみたい。なにせ実際に映像に囲まれるわけでしょ。

というわけで、「ScreenX」上映のためにわざわざお台場(アクアシティのユナイテッドシネマ)くんだりまで行って鑑賞。往復の交通費と鑑賞料金2,500円を合わせると4,000円近い。たっけえけどしょうがねえ。

劇場に入ると、すごい普通で驚いた。3面スクリーンっつっても、左右のそれは一見ただの壁。長方形ですらない。非常口もついてる。だいじょぶか、これ。

肝心の本編は期待通り、ちゃんと面白い。きっちり面白い。ちゃんとした人たちが丁寧に作った映画って感じ。たぶんゾンビ映画としてはかなりグロくない方だと思うし、ほっとしたとこで急にゾンビが出てくるみたいな、半分音で驚かせてるようなシーンもほぼなかったように思う。その上で、きっちり面白い。もう姿が見えてる状態で「ああ、いる…」っていうゾンビと、押し寄せる波としての大人数のゾンビ。地に足の着いた「ワールド・ウォーZ」みたいな。「ScreenX」は吹替え限定なんだけど、これも豪華キャストで違和感なくきっちり。

で、「ScreenX」。これは左右のスクリーンが常時作動してるわけじゃない。ここぞってシーンで両翼が作動して画面が広がる。なんか歌舞伎っぽい。鳴り物鳴って大向うから声がかかる感じでゾンビに追い詰められる。左右のスクリーンの映像は、よく見ると正面の映像の単純な拡張じゃなくて、映像的にはつながってないんだけど、囲まれてる感じが演出されるようなものになってる。ゾンビが殺到するドアを必死で押さえてる時に、視界の左右にはそのドアの向こうのゾンビたちがうごめくのが見える、みたいな。

変な話だけど、スクリーンから翼が生えたような左右の壁の形も相まって、ジュディ・オングを連想した。「魅せられて」の時の。サビになると両腕を開いてベールが広がる。でもあくまで本体は真ん中のオング。左右のベールそのものに注目しても本質的にはあんま意味ない。しかし、ベールのおかげで「女は海」感が演出される。

で、現状、「私の中でお眠」るためだけに4,000円払ってフジテレビ社員の巣窟に行くかというと、う~ん、どうなんだろう、っていう。お台場が遠い、もしくは金がない人は、無理してまでここで観なくてもこの映画はきっちり面白いよ、っていう感じだ。おれ両方当てはまるな。

#コラム #エッセイ

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