7月2日 凪待ち待ち

その容姿と、図体のデカさと、ビール好きで頻繁に太る感じからすると、なんか超やり手のキャリアウーマン(死語なのは百も承知)が家で飼ってる大喰らいのヒモみたいな役をやってくれたりしたら、とてもいいんじゃないか。孫悟空とか両さんとか、結局観てないけどハットリくんとかをこなす姿を見ながら、そんな夢想にふけることもあった。

それにかなり近い香取慎吾を、今このタイミングで、こんな形で観られたってだけでも、結構お腹いっぱいだった。「凪待ち」。まさにおれが待ってたやつ。

震災後の宮城の港町で、公営の施設ですらない、地元のヤクザが営むノミ屋に行っては車券を買って、すって、酒に逃げて、ギャンブル依存症に苦しむ香取慎吾。何度も見てるけど、はじめて功を奏している、このちょっと太った時の顔のライン。これだよ、見たかったやつ。あの超ポップな世界からこの膿んだ漁村にみんなを連れてこれるのはあんただけだよ!…っていう。

で、連れてこられた先で、我々はとてもいいゲロ吐きシーンが見られる。これで「じゃあ観に行こう!」って人いねえだろ。でもいいんだよ。もう最悪だったもん、あのゲロ。黒田大輔っていう、顔見ればほとんど人が見覚えあるはずのあの俳優さんの、最高に冴えないゲロ。冴えたゲロとはなんぞやって話だけど。とにかく、あんな場末中の場末のゲロを広く世の中に紹介できるポテンシャルが香取慎吾にはあったわけですよ。嬉しくねえよ。

ついでに宮城出身としては、何度も行ったことある魚市場で死んだ目の香取慎吾が働いてたりすんのも、細かいとこでは登場人物の「小野寺」、「石母田」なんていう名字もたまらなかった。映画に関してだけ言えば、SMAP以後のほうがみなさん期待できる感すらある。

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