テニスを見下ろす

テレビ東京が卓球の世界選手権とテニスの全仏オープンをセットで仕掛けてきた。まあ、どっちも観やすい時間にやってたらなんとなくぼおっと観て、たまに興奮したりはするスポーツだ。観たら観たで面白い。

特にテニスは、長引いた時の地獄のような有様が好きだ。「これ終わんねえんじゃねえの…?」って思いながら、延々続くラリーを観る。選手がお互いにしんどそうに声を上げたりしてれば、なおいい。それをビールかなんか飲みながら、ちんたらテレビで観ていることの贅沢さ。

例によって、そんな感じで全仏オープンを観ていたら、セットの合間に実況から会場リポーターに話が振られた。映し出されたのは滝川クリステル。全仏オープン中継のメインキャスターでもあるらしいが、これがもうなんかすげえ優雅なんだ。気品と余裕を感じさせる顔立ちと声はもちろん、なんか客席に座ってる姿と、あとは着てる服(スーツとかではなく、涼し気なドレスとでも言うのか)が相まって、もう避暑地の金持ちのようだ。

地上波のスポーツ中継というと、大概は実況もリポーターも熱い。日本人選手を熱烈に応援するスタンスが基本だ。「我々の声援が選手たちに力を…!」的な。実際、今回も実況のトーンはそれである。そしてそれが嫌いだ。応援も興奮も勝手にしたりしなかったりするから、ほっといてほしい。情報だけくれ。

しかし、この滝川クリステルはどうだ。「一緒に応援」なんてんじゃない、スポーツで憂さを晴らす貧民たちを見下ろす席から、オペラグラスで観戦してる上流階級のよう。「お高く止まりやがって」ってんじゃない。もっとやってほしい。でっかい帽子かぶって日差しを避けてほしいし、シャンパン飲んでてほしいし、ジュード・ロウみたいな男をはべらせてほしい。なんなら、リポートもフランス語でいい。そういう人がいてもいいじゃないか。

結局、滝川クリステルは次いつ映るのか、そればっかり注目しながら試合を観終えた。錦織は、勝てたみたい。よかったね。ただ、試合終了後、会場前で番組を進行する滝川クリステルは、なんか結局普通の「錦織がやってくれました!」的なテンションになってた。なんだよ。座って落ち着いてくれ。優雅にスポーツを見下ろすっていうスタイル、いいと思うんだけどなあ。視聴率取れるかは知らんけど。

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