マガジンのカバー画像

連載小説【揺動と希望】

4
北朝鮮からミサイルが飛んできて、南海トラフ大震災が起こった日本がどう右往左往するか、そしてそのなかから新たな世界構築へ向かう思想が生まれるまでの物語。崩れゆく世界で根拠なき希望を… もっと読む
運営しているクリエイター

#SF

連載小説【揺動と希望】 1−1

【1-1】  爆発。  極限にまで我慢したエネルギーがもうどうしようもなくなって一気に吹き出す。充満することに我慢しきれず、現実界を構成する誰かがその一歩を踏み出す。そこには一種のあきらめがあり、その後に開ける青空を見ることを渇望する意思がある。爆発という幸運がすべてに重なり合う瞬間。すべて望んだことが形になる。そう、世界は昔、そうして出来上がったのだ。  痛い、けど心地良いとミサキは思った。粉塵とコンクリートの破片が身体を叩く。防護服は引きちぎられ、ヘルメットからは休