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読書ノート 「世界 202105/08」 岩波書店 


 岩波書店発行総合評論誌「世界」を読む。それぞれの号の特集は、「人新世とグローバル・コモンズ」「サピエンス減少」。要旨を書く。

 コロナによる出生率の低下、移動人口の停止は、増加から減少に向かう世界人口の歴史的転換を加速する。

 世界人口は2020年の約78億人から2030年の85億人を経て、2050年には97億人、2100年は109億人と、2020年から40%増加すると予想されている。しかし今後、その増加する31億人の内訳を見ると、最も多いのは65歳以上の老年人口で、年少人口はむしろ減少する。おじいちゃんおばあちゃんばかりになるということである。また人口増加の95.4%はアフリカであり、世界人口は多産多死から少産少死、その後縮減する社会に向かう。

 人口減少は不可避のメカニズムであり、日本の人口置き換え水準の合計出生率は2.07人だが、これを維持することは困難とされている。

 人口が減少しだすと、急激に減少(人口爆縮)し、消費需要が減り、労働力需要が減り、消費も生産も低迷。富の再配分ができなくなり、問題解決には就業と所得の関係を切り離す(ベーシックインカムなど)一方、増税によりその財源を確保する必要がある。

 また自然環境は脆弱化・悪化し、インフラは荒廃し、その縮減による後始末に追われることになる。だから原発など、後始末が大変な事業には乗り出さないほうが良い。過疎地の人口減少は加速度的に進み、地域からの撤退を余儀なくされる。労働力の確保の名目で海外の移民が増え、移民敗訴や自国民優先主義がはびこる。利害対立と格差拡大が進み、社会的連帯の基盤が崩れ、システムが機能しなくなる。

 こうした事柄を解決するにはグローバルな意思決定システムが必要で、資源や所得の再配分をその見地から行わないことには、立ち行かなくなってしまうだろう。グローバル・コモンズ(地球における共有物)をめぐる争いをしている場合ではなく、人類が責任を持ってそれを管理していかなければ、すぐに地球上から我々はいなくなってしまうだろう。

 そのためには、ローカル・コモンズ(地域資源)を守ってきたように、グローバル・コモンズを守ること、あと10年で大規模な転換が起こらなければ地球と人類の未来は危うくなるということを、いかに伝えるか。安定的な地球を守ることは構成員全員の利益であることをいかに得心してもらうか、そしてそれを「他人事」ではなく「自分事」として捉えるようになれるか、が重要である。

 具体的な方策としては経路分析と指標作りが必要である。そのうえで実践のための工夫がいる。経済システムの変革、協働、プラットフォームの構築、経済モデルそのものの変革、現実に出来るかどうかのハードルはとてつもなく高いが、そうした変革ができなければ我々に未来はない。

 しかし我々の取り組みは絶望的に遅い。
 科学者のメッセージに我々の認識と行動が追いついていない。
 今、我々は、いかに特別な時期にいるかをよく理解しなければならない。 
 COVID-19は、我々がまさに人新世にいる現実を突きつけた。21世紀になってから頻発する人獣共通感染症は、人間の活動範囲が、食糧生産・インフラ開発などを通じて、それまで脅かされていなかった生態系を撹乱していることが一因である。この意味で、まさに人新世時代の疾病である。こうした試みを実行していくのは、最後は「人」であることは論を俟たない。「地球緊急事態宣言」である。


 どうでしょうか。ChatGPTのような要約になっていないか心配です。
 その通り、という内容ではあるが、こうした視野から何を生み出し、何を行使していくかは各人の問題。かつ全人の問題でもある。
 

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