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歩き地蔵のお江戸面白地蔵物語VOL.69 池袋 お茶あがれ地蔵さんと「女の幸せ」を語るの巻

おはようございます。今日は曇りの板橋区です。夜中にスマホの地震警報がウイーンウイーンと鳴って、若干の揺れを体感し、目覚めてしまいました。

それで、昨日の取材の整理を早速はじめました。

今日、ご紹介させていただきますお地蔵さんは池袋にあります「お茶あがれ地蔵尊さん」です。お名前だけのイメージだと、参拝する方々にお茶を勧めるお茶目なお地蔵さん?

と、イメージしていたんですが、実際伺うと、看板掲示では「結婚に反対されて亡くなった女性の御霊を弔う意味で設置された」と書かれていて、ネットで調べると「板橋の方から夫の暴力から逃れるために池袋まで逃げてきて、たどりついた村で喉が渇いたのでお茶を飲ませてもらえないか?と頼んだけれど、断られて、そのまま亡くなり、その後、夜な夜な、『お茶が飲みたい』との女性の呻き声が聞こえてきて、その御霊と弔うために建てられた」とも書いてある情報も目にしました。

それで伺いますと

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ペットボトルの「お~いお茶」が供えられていて、ちょっとほっくり。ですが、お顔を拝見すると、青いペンキでも塗られたようになっていて、すごく切ない気持ちになりました。

参拝時も「大変だったんですね。お辛かったですね」と心を込めて御霊安らかなれと願わせていただきました。そしてコロナの件もお願いしてきました。

マップやその他の町の情報は後に上げるとして、

今回は「女の幸せ」について、お地蔵さんと語ってきましたので、私が描いた絵をアップさせていただきながら、会話の様子をご報告させていただきます。

では「お茶あがれ地蔵さん~」

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「は~い。おはようございます」

「はい。おはようございます」

「昨日は参拝ありがとうございました」

「私の方こそ、ありがとうございました。お会いできて嬉しかったです。あと、お地蔵さん、すみません。勝手ながら、私の絵では、青いペンキがかかっているような所、描きませんでした。事実と違っててすみません」

「ま、どうして?」

「はい。お地蔵さんには綺麗でいてほしいから・・・」

「青いの気になったの?」

「お地蔵さん、二つ説あるじゃないですか?好きな人と結婚できないで死んじゃったとか、板橋からDV夫から逃げてきたのに、お茶をこの地で飲めなかったとか・・・私にはこの青いペンキがDVの跡に見えてしまいます」

「あら・・・いつの間にか着いちゃってたの。そうかもね~。あのDVの頃は大変だったから、その気持ちが残ってしまってて出たのか、もしくは誰かさんのいたずらで青いのか、わかんないけど、絵の中では無くしてくれたのね。優しいのね。ありがとう」

「いや、優しいとか、、あんまりよくわかんないんですが。青いのになんか嫌悪感がはしちゃって、、自分の問題です。きっと。せめて自分の絵の中だけでも、お地蔵さんには笑顔でいていただきたい。笑顔好きなんです。私」

「そうよね。私もその気持ちわかるわ。それからね、ちょっと話は違うかも知れないけど、私に過去、お茶が出なかったこともね。きっと私にお茶をあげたくても、差し出せない奥様もいたと思うのよ」

「え?なぜですか?」

「私がDV受けて逃げてきて、もし、可哀そうと思って私にお茶を出すと今度は自分が夫にもっといじめられるって思ったと思うのよ」

「いや、きつい状況ですね」

「ね、本当にね。私もね。苦しく感じた時もある。この村に来て、お茶もらえないので、お茶くれ~って出てきちゃったのも本当なの。それで、みなさんが、私をお地蔵さんにしてくれたんだけどね。時間が経過したことと、ここに参拝に来る人の心を見つめていくうちに、いろんな人を許せるようになってきたのよ~」

「この掲示版では、結婚できないで亡くなったって書いてて、板橋から逃げてきたことは書いてないですね」

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「役所の書くことは、そういうモノなの。いい感じにオブラートに包む物なのよ。ほら、前にも牛窪のお地蔵さん、マグマ大使でもそうだったでしょ?」

「あ、17回目の時ですね。いや~もう69回目になってしまってますよ。うわ~信じられないな~。自分でもびっくり。毎日描けていることも驚きです」

「そうよね~」

「なんか、お地蔵さん、ちょっと私の話を聞いてもらえますか?実はね、昨日、お地蔵さんの参拝に行ったあとに、お昼だったこともあって、ランチしようと思ったんですね。で、できれば地域に密着したお店で食べたいと思ったんですが、今のこのコロナの関係で臨時休業の店ばかり。チェーン展開の店は開いてたんですが、そのような店舗では食べる気になれなくって、、、、けどもあきらめずに歩いたら、カレーも出しているエスニック系の店が出てきたんです。一昨日もココナッツミルク入れてタイカレー食べてて、今、カレーにはまっててね・・・」

「うんうん。カレーは鬱ぽい気持ちを消してくれるから、今みたいにコロナで自粛の時にはいいのかも・・・」

「はい。それで入ったら、ウエイターさんの顔が私の亡くなった夫に似てて、かつ、お店はネパール料理の店だったんです」

「ほほ~」

「実は夫は若い頃、インド・ネパールに旅してたことのある人で、ネパールとか耳にすると、一気に思い出すことがあるんです」

「何?」

「夫が亡くなってから、里に帰って、しばらくして、ちょっと地元では有名な高めの美容院に自分のご褒美と思い切って行ったのです。そしたら、そこにマチャプチャレの写真集があって・・・」

「マチャプチャレって?」

「マチャプチャレって、、、

ウキペデ貼っちゃいましたが、魚の尻尾と言われているネパールの霊峰なんです。夫は生前にこの山の話を嬉々としてよく話してくれていて、その時の表情を思い出して、けど、居ないので寂しくって、切なくって、髪の毛切ってもらっている間中、ボロボロと泣いていたこと、ネパール料理店でキーマカレー食べているうちに、思い出して。

それで、また、泣けてきたんですが、時間が私を強くしてくれているのか、泣かない私になってました。そして、寂しいから泣くから卒業している自分に気が付きました。さらに、パパとの思い出をこうして日々の暮らしの中で思い出せることって、幸せだな、と、この幸せを噛みしめれること、なんと贅沢なんだろうと思ったんです」

「うん。そうだね。わかるわ」

「お地蔵さん、こんな私でも大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。あなたは、自分を褒めて褒めて、それでいいの」

「はい。切ない人生を送ってきたお地蔵さんに、それでいいって言っていただいたので、よかった」

「はい。良かった」

何を伝えたかったのか?とても漠然としているけど、幸せって自分の心の中にあるってことかな?

強烈に言いたいことを書けた感じがしていないけど、今日の空も曇り空だし、こういう日もあっていいかな?

編集後記

マップから

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お地蔵さんにお会いするために狭い道を通ってみた。猫さんにお会いしたい。けど、暑い日は出てこないんだな~と思ってあきらめて歩く。

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人のいない静かな裏道

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この通りに出たら、昼時と言うこともあってが「家で食べるクリームシチュー」の匂いがしてきた。あ~幸せのサイン。

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カップルが仲良く歩く。

「板橋駅ってここなの?」

「そうだよ」

「案外近いんだね?」

「うん」

歩くことで近所がより見える。

一緒に歩くことで、二人の心がより近づく。

今回の自粛期間に散歩は禁止条項に入らないと思えることに感謝。

散歩は平和をもらたす。

そんな気がした。

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