着の身着のままゲーム機 (バレエショートショート)
藍たちは、いつものレッスン中に、別世界に飛ばされたのに気がついた。夕暮れのはずなのに、変に明るくチカチカするので、内窓のカーテンをそっとあけると飛行機のコックピットで見るような計器が窓枠一杯に並んで点滅している。
キャー!?
外がどうなってるか見ようとしても、ドアがロックされて廊下にすら出ることができない。電話もつながらない。皆で不安がっていると、井伊野が計器を眺めて「なんだ、これ何かのゲーム操作機だよ。ほらモニターやランキング表示が出てるよ」 と笑う。
一体何のゲーム?
これってバレエと全然関係ないよね?
先生が皆に声をかけた。
「要は踊ればいいのです。さあ踊りましょう」
レッスン音楽を聴くと藍たちはすぐに正常心を取り戻し、いつも以上に熱心にレッスンに取り組む。
外から点滅がなくなり、井伊野がもとに戻ったぜと言った。先生は「そういうものです。私達はどんな時でも踊ればいいのです」と断言した。藍たちは拍手した。バレエ人生万歳。
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今週のお題は、「着の身着のままゲーム機 」 でした。
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