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会員制の粉雪 (バレエショートショート)

 粉雪が舞うバレエシーンとして圧倒的に有名なのはくるみ割り人形の舞台による雪の精による群舞だ。藍も半年前からクラスの皆でレッスンを重ねていた。明日は待ちに待った本番。前日から白いロングチュチュにティアラをつけて、本番と同じ舞台装置でリハーサルをする。舞台の後ろはクリスマスツリーで、上からは雪が舞う。それは道具係が天井から白い紙を落としてくれる。
 藍たちは雰囲気あるなあと感動しながら踊る。明日はこれに満席の観客の拍手が来るだろう。皆で良い気分で踊っていると、くるみ割り人形の唯一の悪役のネズミの王が出てきた。畜生、また井伊野だ。音楽が止まった。

出ていきなさい

 観客席にただ1人座っていた先生の怒号が響く。藍たちも怒る。井伊野は皆の剣幕に驚く。
「なんだよ。リハーサルだろ? 会員制でもあるまいに」

「会員制よっ! 男子禁制! ネズミは出てお行き!」

井伊野は、くるりと一回転だけのピルエットを披露すると全速力で逃げていった。



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たらはかにさまの企画に参加中です。
今週のお題は「会員制の粉雪」


くるみ割り人形の雪のシーンは、どこのバレエ団やバレエスクールでも大勢で踊ります。発表会なら大人バレエのクラスの人が多いかな。(小さい子はその前に出てくる王子とネズミが戦うシーンで出ることが多いと思う)
なので粉雪といえばもう絶対にコレしかないわ…という感じですぐにできました。

プロが踊る場合は、雪の精といっても、バレエ団によって振り付けも大きく違ってきます。ロングチュチュの場合は、しっとりと踊ることが多いし、短いチュチュなら雪の精が元気にジャンプして踊るのが多い印象かな。見比べるのも楽しいです。

下記は粉雪がきれいな雪の精のシーン。ここのだけ男性の雪の精もでてくるので珍しいかなと思います。英国のバーミンガムバレエのもの。7分と少し。
(※ 下の画像をクリックすると動画が出てきます。)


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ありがとうございます。