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三日月ファストパス (ショートショート)

 ぼくたちは、迷子らしき見知らぬお婆ちゃんに会い、安全な公園まで連れて行った。すると見たことのない車が近寄ってきて、中から見たことのないおじさんが出てきて、そのおばあさんを車の中に入れた。
 おじさんはぼくたちに「世話になったお礼に、三日月に待たずに行けるパスをあげるよ」 と紙きれをくれた。そして車ごと消えた。声に出さず頭の中に響くようにして話しかけられていた。
 紙きれは確かに三日月の形をしている。太陽にかざすと読めぬ文字が3Dに浮かび上がって紙きれごと消えた。

 突然足元の地面の面積が狭まり、半円になり、細い三日月の形になった。周囲には何もなく宇宙空間の中にいる。足元の三日月部分がだんだん小さくなって今にも消えてしまいそう。大変だ。ぼくたちは宇宙に飛び出ないように身を寄せ合い足をつま先にした。もうだめだと思ったら、元の場所に戻っていた。地球人向けはここまでで終了という機械音が頭の中で響いた。
 結構おもしろかった。

ありがとうございます。