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#0140【クレオパトラとアントニウス(古代ローマ、BC1世紀)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。

悲劇の美女特集第二回は古代ローマの覇権からプトレマイオス朝エジプトの女王クレオパトラを取り上げます。

世界三大美女にも挙げられ、「人間は考える葦である」と喝破した17世紀の数学者であり哲学者であるパスカルは、「もし、クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、この世界は変わっていたであろう」と述べています。

クレオパトラは、BC69年にエジプト、アレキサンドリアに誕生します。彼女の祖先はアレキサンダー大王の部下だったプトレマイオスというギリシャ人です。その後もギリシャ人同士の婚姻がメインでした。

彼女の魅力は、絶世の美女といった容姿よりも、男性を虜にする知性や大胆さにあったと思います。エジプトに進出してきた古代ローマの英雄ユリウス・カエサルに会うために絨毯に包まってカエサルのところにやってきた話など、彼女の大胆不敵な強さを感じます。

なぜ、彼女はそこまでしてカエサルに会いたかったのか。

クレオパトラは弟と結婚し、BC51年からエジプトを共同統治していました。古代エジプト王朝時代からエジプトにおいて近親婚はタブーでありませんでした。むしろ王家の血を濃く残すためにも積極的に行われていました。(中世ヨーロッパにおいてもハプスブルク家などでみられる傾向です。)最初の頃は共同統治がうまくいっていましたが、やがて弟と対立するようになり、BC48年にカエサルがエジプトに進出する頃にはクレオパトラは首都アレキサンドリアから追放されてしまっていました。

起死回生の手段として、カエサルと連携することにしたのです。弟とその一派をカエサルは追放し、クレオパトラはファラオの地位に戻ることに成功しました。カエサルとは男女の関係ともなり子どもも授かります。超大国として勢力を張るローマ帝国の最高権力者を後ろ盾としたクレオパトラは22歳にして我が世の春を迎えます。

しかし、カエサルは独裁者としてローマの共和制の敵とみなされBC44年に暗殺されてしまいました。カエサルの遺言には、クレオパトラとの子どもに言及はありませんでした。クレオパトラはカエサルの後継者争いをしていたアントニウス(カエサルの副官)とオクタヴィアヌス(カエサルの養子)のうち、アントニウスと連合することにします。

アントニウスもクレオパトラの魅力の虜となり、二人は愛を育みます。子どもも生まれました。アントニウスはクレオパトラの要望を聞き入れて、エジプトの有利になるような政策を取っていき、ローマ上層部からの反感をかいます。

時勢は自分にあると確信したオクタヴィアヌスはアントニウス・クレオパトラ連合軍との対決を決意し、BC31年にギリシア沖のアクティウムの海戦で二人を破ります。敗戦時に、アントニウスは部下を置き去りにして、戦線離脱を急ぐクレオパトラを追いかけて逃げたと嘲笑されることになりました。

勝者であるオクタヴィアヌスに対して、外交交渉での事態打開をクレオパトラは図ります。疑心暗鬼になったアントニウスはクレオパトラが自分を裏切ったと思い込んでいましたが、そこにクレオパトラが自殺したという誤報を受け取り、後追い自殺を図ります。これを知ったクレオパトラは、瀕死のアントニウスを自分の元へと移送させます。アントニウスはクレオパトラに見守られながら息を引き取りました。

クレオパトラはオクタヴィアヌスの捕虜となりますが、クレオパトラは屈することを拒んで自殺。贈答品のイチジクに忍ばせていたコブラに身体を噛ませて自殺したとも伝えられています。オクタヴィアヌスはクレオパトラの「アントニウスと共に葬られたい」との遺言を聞き入れました。

以後、エジプトはローマに編入され、皇帝直轄地とされます。

カエサルの養子であったオクタヴィアヌスは、クレオパトラとカエサルの間に生まれた子どもを殺害しますが、アントニウスとの間の3人の子どもたちは、自分の姉にしてアントニウスの前妻でもあるオクタヴィアに預けられ、養育されました。

以上、本日の歴史小話でした!

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発行人:李東潤(りとんゆん)
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主要参考文献等リスト:
https://note.mu/1minute_history/m/m814f305c3ae2
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