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#0190【流謫の先の再起をかけて(旧約聖書、ヤコブの出発と夢)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
今週は、旧約聖書の物語シリーズをお送りします。

前回の【0174:父母兄弟。入り乱れる家族の愛憎(旧約聖書、エサウとヤコブ②)】の続きとなります。
父イサクをだまして長子エサウが受け継ぐべき祝福を受け取った弟ヤコブ。

憤慨したエサウはヤコブを憎み、父が亡くなった後に必ずヤコブを殺してやると誓います。

それを知った母リベカは、ヤコブを自分の兄ラバン(ヤコブたちの伯父)の元へ逃亡するよう勧めました。

<>内は旧約聖書からの引用を基に記述。

<母リベカと父イサクは、出発する前のヤコブを呼び寄せて
「ラバン伯父さん(リベカの兄)の娘と結婚するようにしなさい」
と伝えました。

ヤコブはその後、ラバンの元へと向かうべく旅立ちます。

とある場所に来た時に日が沈んだので、そこで一夜を過ごします。

ヤコブはその場にあった石を一つ取って枕にして横たわりました。

すると、彼は夢を見たのです。

先端が天まで達する階段が地に向かって伸びており、しかも神の御使いたちがそれを上り下りしているではありませんか。

そして、主がヤコブに語りかけます。

「わたしは、あなたの父祖アブラハムの神、イサクの神、主である。あなたが今横たわっている土地をあなたとあなたの子孫に与える。
あなたの子孫は大地の砂粒のように多くなり、東西南北へと広がるだろう。
わたしはあなたと共にいる。
あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。
わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」

ヤコブは眠りから覚めると、これまでの不信仰を詫びて、ここはまさに神の家だと実感します。

もし、私の旅路が守られ、そして無事に父の家に帰還することができたのならば、ヤコブは自分に与えてくださるものの十分の一を捧げることを誓うのです。>

中世ヨーロッパ、キリスト社会において、教会が民衆から十分の一税を取る根拠の一つとなった文脈です。

これは創世記の記述ですが、その後旧約聖書の他の箇所や新約聖書にも教会(神の家)が十分の一税を集めることが聖書によって担保されていくのです。

さて、ヤコブは無事に伯父ラバンの元へと辿り着くことができましたが、そこには過酷な運命が待ち受けていました。

以上、本日の歴史小話でした!

(続き:No.191【欲に目がくらんで騙される(旧約聖書、ヤコブの結婚)】)

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