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#0136【鉄と図書館。最初の帝国アッシリア(BC7世紀、古代オリエント)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
先週は聖書の物語、神話の世界でした。今週は古代オリエント(現中東地域)の歴史を振り返りたいと思います。

No.75「ヒッタイト王国」の続きだとお考えください。

現トルコからイスラエル、エジプトの近くにまで勢力をはったヒッタイト王国は、鉄器という新技術をもって君臨していました。

しかし「海の民」と呼ばれる謎の民族の侵入により滅んでしまいます。

ヒッタイト滅亡後の古代オリエントを支配し、最初の複数民族を傘下に収める「帝国」を築いたのが、アッシリアでした。

ちなみに英語における「エンパイア:帝国」の定義は以下のとおりとなっております。
Empire: a group of nations or peoples ruled over by an emperor, empress, or other powerful sovereign or government

必ずしも皇帝や女帝といった君主制に限ったものではなく、多民族を支配する国家のことを指します。

アッシリアは紀元前2000年頃にティグリス川(現イラク)中流にアッシュールという都市を建設したことが興りです。

ヒッタイトと争っていたミタンニ王国の傘下にいたアッシリアですが、BC1450年頃に独立を果たします。

彼らが強国になれた理由は東西の交易路の交差点に位置し、商業の中継地として富が集積されていったからです。

紀元前9世紀には、その経済力を背景に鉄製武器と馬車による強力な軍事力でオリエント世界を席巻します。さらに攻城兵器も導入し、敵対都市を破壊していきます。

征服した都市で大虐殺を行い、その土地の民族・民衆を強制移住させたり、重税を課したりなど圧政を敷きました。

BC671年にはエジプトまで征服することに成功し、ここにメソポタミアとエジプトを合わせた古代オリエント世界は一つの権力の下に統一されたのでした。

BC668年には「アッシュール・バニパル」が即位します。
彼は首都ニネヴェ(ティグリス川上流)に大図書館を建設し、当時のあらゆる書物をかき集めたことで有名です。三万点にも及ぶ膨大な粘土板を収集し、シュメール、アッカド、古代バビロニア時代の文献が残りました。

この大図書館は19世紀の半ばにイギリス人のレヤドによって発掘されました。この蔵書のお陰で、古代オリエントの歴史は詳細に判明しており、年代の特定もできているのです。

広大な領域を支配したアッシリア帝国でしたが、強大な軍事力と恐怖政治に頼った支配方式では、各地の反乱を押さえきることができません。

BC627年にアッシュール・バニパルが死去すると帝国は瓦解していき、BC612年に遂に滅亡してしまいました。

その後は古代オリエント世界は4つの王国に分裂し戦国時代を迎えます。続きは水曜日に。

以上、本日の歴史小話でした!

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発行人:李東潤(りとんゆん)
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